2022年版 世界最高のスポーツカー トップ10 ドライビングの世界へ誘う魅力的なモデル
公開 : 2022.07.02 18:05 更新 : 2022.08.10 21:46
4. シボレー・コルベットC8
アメリカンスポーツを象徴するコルベットの8代目において、エンジンをフロントマウントからミドマウントに変更するというギャンブルに出たことについては、多くのことが語られてきた。重量配分を改善し、ハンドリングのポテンシャルを高めるという客観的な理由もある。
今やミドエンジンレイアウトがスポーツカー市場の中で注目されるようになり、先代のC7コルベットのフロントエンジンは、最新世代の消費者にとって過去の遺物のようになったということだ。
シボレーが最終的にどのような決断を下したにせよ、その価値はあったと言えるだろう。C8コルベットは、そのスーパーカー的なルックスからは意外なほど手頃な価格設定に目を奪われるが、美点は何も希望小売価格にとどまらない。
「スモールブロック」のV8エンジンは、スロットルレスポンスに優れ、中間レンジのパワーデリバリーが素晴らしく、6500rpmを超える回転を好み、そのサウンドは最高だ。明確なパフォーマンスは「スーパーカー並み」というには少々遠いかもしれないが、この価格で、0-100km/h加速3.0秒前後という結果に文句をつける者はいないだろう。
C8のハンドリングは安定性と正確性に富み、フロントエンジンのどのモデルよりも素直でクイックなドライビングが可能だ。ポルシェ992のような完成されたクルマからプレッシャーを受けても、独自の魅力を維持できるスポーツカーは、かなり優秀なクルマに違いない。
確かに、キャビンには人間工学的に癖があり、質感においてもライバルに及ばない点がある。しかし、コルベットのようなクルマが存在すること、しかも右ハンドルであることに感謝せずにはいられない。無条件にお勧めできるわけではないが、留意すべき点は少なく、このクルマの大らかな性格で簡単に相殺できる。
5. ジャガーFタイプ
ジャガーEタイプの後継車として大いに期待されたこのクルマの販売状況は、現代のスポーツカー市場の状況について多くのことを教えてくれるだろう。2013年に発売されたとき、AUTOCARは、クールで信頼性の高い現代のTVRのようなものとして、購入者の評価を受けるだろうと想像していた。そしてしばらくの間は、実際にそのような状況が見られた。
しかし、市場は少しずつ変わっている。上はアウディR8のようなスーパースポーツカー、下はポルシェ・ケイマンやアルピーヌA110のような比較的安価なスポーツカーまで、トレンドは次々とミドシップレイアウトに移行。Fタイプもそれに合わせて変化せざるを得なくなったのである。
そこでジャガーは、6気筒エンジンの人気が高まる中で4気筒を導入し、Fタイプへの関心を再び呼び起こそうとした。2020年初頭に行われたフェイスリフト以降、Fタイプはそれまでよりもさらに多くの市場に展開しているが、このようにまとまった効果を上げることができるのは、ジャガーの大きな功績と言えるだろう。
レンジトップでは、最高出力575psを発揮する新たな「R」モデルが911やアストンマーティン・ヴァンテージのライバルに。ローエンドでは1000万円以下で300psを実現。ミドルレンジでは、V8エンジン、後輪駆動の「P450」がギャップを埋める。ただし、リッチなサウンドを奏でる6気筒エンジンは搭載していない。直列4気筒か、V8のいずれかである。
ジャガーが2020年に施した新しいスタイリングは、確かに新鮮なビジュアルを与えることに成功した。AUTOCARが最上級モデルのR AWDクーペに試乗した際は、どこか古風なV8ホットロッドのスピードとノイズで我々を魅了し、しかもハンドリングの正確さとシャシーの落ち着きで感動を与えてくれた。
Fタイプは、ライバルであるポルシェほど完成度が高くはなく、内装の高級感や車載システムの洗練度も劣る。しかし、Fタイプには多くの魅力がある。今のうちに手に入れておくべき理由がたくさんあるのだ。