時空を支配するNA V10 ランボルギーニ・ウラカン・テクニカへ試乗 速さはSTOの95% 前編

公開 : 2022.07.06 08:25

間もなく生産終了となるウラカンの、最終仕様の1つでマイルド版STOと呼べるテクニカ。英国編集部が評価しました。

過去最高といえる年間売上を記録

「われわれの想像以上に早く、市場の活気が戻ってきました」。と話すのは、ランボルギーニの会長でCEOを務める、ステファン・ヴィンケルマン氏。彫りの深い顔に笑みを浮かべながら、近年の売り上げの復調ぶりを説明してくれた。

COVID-19の流行で、2021年の自動車市場は冷え込んでいた。そんな他社をよそ目に、ランボルギーニは過去最高といえる年間売上を記録している。さらに、ウラカン・テクニカと名付けられた、V型10気筒エンジンを積んだスーパーカーの最新仕様も発表した。

ランボルギーニ・ウラカン・テクニカ(欧州仕様)
ランボルギーニ・ウラカン・テクニカ(欧州仕様)

好調ぶりに自信を見せる上層部だが、2022年には年間1万台という、生産台数の大台を突破するとも予想されている。それが実現するなら、最大で長年のライバル、フェラーリにも10年以内には並ぶ可能性もある。

生産数が伸びているといっても、まだ規模としてはフェラーリの3分の1程度ではある。しかし、イタリアン・ブランドの勢力図に大きな変化が生まれていることは間違いない。バッテリーEV(BEV)となる、ランボルギーニ第4のモデルの発売が控えてもいる。

フェラーリの元会長、ルカ・ディ・モンテゼーモロ氏は以前に、持続可能性を求める社会にあって、既存のスーパーカー・メーカーが抱えるリスクに対する危機感を話していた。経済が変化し、独自性が薄くなり、苦痛を伴う決定も必要になるだろうと。

さほど昔のことではない。確かに、われわれにとって厳しい時代が到来している。だが富裕層には、さほど強い向かい風は吹いていないのかもしれない。

素晴らしいモデルへ進化を続けてきた

近年は、高性能SUVのウルスがランボルギーニの商業的な成長を支えている。だが、その裏側で、スーパーカーのウラカンがブランドを牽引していることは間違いない。

しかも、販売台数もしっかり伸ばしているようだ。5年前と比べて約2倍のウラカンが、オーナーの元へ渡っている。

ランボルギーニ・ウラカン・テクニカ(欧州仕様)
ランボルギーニ・ウラカン・テクニカ(欧州仕様)

多くのメーカーがハイブリッド化やBEV化を進める中にあって、自然吸気のV型10気筒エンジンを搭載するエキゾチック・モデルは、時代錯誤的な存在になっていることも確かではある。それでも、実際は世界で好調に売れている。

その理由の1つになっているのは、ウラカンが素晴らしい進化を続けているからだろう。2017年のウラカン・ペルフォマンテは見事なスーパーカーだった。だが、2020年のウラカン・エボ RWDとSTOは、さらに特別なクルマに仕上がっていた。

2014年に発表されたウラカンだが、あと2年でその役目を終える。プラグイン・ハイブリッド(PHEV)となる、新モデルの開発は順調そうだ。その最後を素晴らしいまま終えるべく、ウラカン・テクニカが投入されることになった。

ベーシックなエボと、最高にハードコアなSTOとの、ギャップを埋める存在が目指されている。確かにSTOは、アヴェンタドールと同等の金額をウラカンに費やしてもらえるのか、ランボルギーニが様子をうかがっているところがあった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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