中嶋一貴 水素と合成燃料を語る トヨタ・ガズー・レーシングにとってル・マンの重要性とは

公開 : 2022.07.02 18:25  更新 : 2022.11.01 08:41

ル・マンは来年が勝負 トヨタの技術活かせるか

――合成燃料についてどう思われますか?

「解決策にはなり得ると思いますが、結局は政治次第ではないでしょうか。今のところ、欧州で政治的に合成燃料を推進していないのは、ちょっと残念ですね。モータースポーツをはじめ、いろいろなところでいい解決策になると思うのですが。そうなることを強く願っています」

「結局、解決策は1つではなく、それぞれの社会や個人の状況に応じて、たくさんの選択肢から選ぶ必要があるのです。なので、新しいテクノロジーがたくさん出てくるのは良いことだと思います」

――新しいル・マン・ハイパーカーの進捗はいかがですか?

2023年はWEC(世界耐久選手権)にプジョーやフェラーリといったビッグネームが復帰する。
2023年はWEC(世界耐久選手権)にプジョーフェラーリといったビッグネームが復帰する。

「とても順調です。ホモロゲーションの観点から開発には多くの制約がありますが、レーサーからはポジティブなコメントをもらっています。来年は明らかに、僕らにとって大きな年になります。今まで以上に多くのメーカーがWECやル・マンに参戦しますから、この10年で培ってきた僕らの能力を発揮するときです」

「この点は、他と比べて有利なところです。他のメーカーがどのように挑戦してくるのか、とても楽しみです。彼らはとても強いので、僕らもしっかり準備をしなければいけませんが、ビッグネームの前で自分たちの力を試せるのはとても楽しみです」

――ドライバーとしての経験は、新しい役割にどのように役立っていますか?

「僕は、チームの中でできるだけ多くの会話に参加して、自分の意見を言うようにしています。(ドライバー時代は)チームとしてすべての瞬間を共有し、そのすべての経験が僕らを強くしてくれた。そして今、僕らは山あり谷ありの経験を積んで、どんな困難にも立ち向かえるようになったと感じています。チームはますます自信を深めています」

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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