エリーゼの派生モデル ヴォグゾールVX220(オペル・スピードスター) 英国版中古車ガイド

公開 : 2022.07.13 08:25

新車時代のAUTOCARの評価は

パワフルな2.0Lターボエンジンを搭載するVX220(スピードスター)は、軽量なボディと相まって、0-97km/h加速を5.0秒以下でこなす。トランスミッションとの相性も良く、カーブの続く道でも、高速道路のクルージングでも、滑らかにパワーを引き出せる。

しかも燃費も良好。平均で10.6km/L前後は得られる。スーパーカーに迫る操縦性や動力性能を発揮できるモデルとしては、褒められる数字といっていい。(2003年8月9日)

ヴォグゾールVX220(オペル・スピードスター/英国仕様)
ヴォグゾールVX220(オペル・スピードスター/英国仕様)

専門家の意見を聞いてみる

ジョン・シール氏:ジョン・シール・スポーツカー社代表

「素晴らしいクルマです。理想的な道へ踏み入れれば、はかりしれない楽しさが待っています。問題といえば、極めて珍しいということくらい。現在も、在庫は1台しかありません」

ヴォグゾールVX220(オペル・スピードスター/英国仕様)
ヴォグゾールVX220(オペル・スピードスター/英国仕様)

「今のところ、希望価格と実売価格との間に差があります。まだ希望の価格で売ることは難しいようですね。しかしエリーゼと比べても、価格価値は優れていると思いますよ」

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

アストラ由来の2.2L自然吸気エンジンは、基本的に信頼性が高い。ただし、タイミングチェーン式ながら、10万km程度で交換が必要になることがある。エンジンの始動時などに、不自然な機械音を発しないか聞き耳を立てる。

加速時は、リア側から聞こえるコツコツという振動音がないか確かめる。エンジンマウントの劣化が原因のことがあり、修理には数百ポンド(数万円)は必要になる。

ヴォグゾールVX220(オペル・スピードスター/英国仕様)
ヴォグゾールVX220(オペル・スピードスター/英国仕様)

2.0Lターボエンジンはタイミングベルト。こちらも10万km以内で交換する必要がある。

トランスミッション

変速フィールはあまり良くないが、1速と3速には滑らかに入るのが通常。もし変速しにくいと感じたら、購入を諦めた方が良いかもしれない。トランスミッションの交換は安くできないうえ、最近は諦める人も多いようだ。

ボディ

ボディは殆どがFRP製。大まかに、フロントのクラムシェルとセンターセクション、リアのクラムシェルという3分割で構成されている。

ボディパネルは、重さを掛けるとひび割れすることがある。前後のクラムシェルは、英国では専門ショップから交換用のパネルを購入できるが、かなり高額だ。

フロントガラスと、それを囲む樹脂製のフレームを交換する場合は、クラムシェルを取り外す必要がある。氷点下の屋外で長期間保管されていたりすると、塗装に水ぶくれのような膨らみが生じることがある。

ブレーキ

標準装備のABSは、ユニットの故障が珍しくない。過去のオーナーがABSをキャンセルさせていることもあり、ステアリングコラム付近などにスイッチがないか確認したい。既に20年が経過するクルマだけに、ブレーキフルードの交換は必須。

インテリアと電気系統

ヒーターが付いているものの効きが弱く、社外品のヒーターマトリックスでアップグレードされていることがある。サイドシルに不自然なプロテクターやカバーが付いている場合、ヒビ隠しの場合があるので要注意。

荷室内には電気系統のリレーがレイアウトされている。雨水の侵入で、電気的な不具合を招くことも。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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