初代からブレない訴求力 新型キア・ニロEVへ試乗 航続458kmの電動クロスオーバー

公開 : 2022.07.18 08:25

反応が一貫していて正確なステアリング

今回、2代目ニロEVを試乗したのは英国の一般道。まだ最終版のプロトタイプということだったが、ほぼ仕上がった状態に感じられた。

運転した印象は、良い意味で先代のeニロを彷彿とさせるもの。ボデイサイズはひと回り大きくなり、デザインも一新しているが、どこか馴染みがある。

キア・ニロEV プロトタイプ(英国仕様)
キア・ニロEV プロトタイプ(英国仕様)

乗り心地は、低速域では若干硬さが目立つものの、英国の都市部では一般的な凹凸や継ぎ接ぎを巧みに処理していた。速度が増すにつれて、滑らかさが出てくるようだ。

ステアリングフィールは、反応が一貫していて正確。興奮を誘うようなものではないが、家族で乗るクロスオーバーなら、これで問題ないといえる。

駆動用モーターもバッテリーも、基本的には先代譲りということで新鮮さはないが、ニロEVというモデルには丁度いい。加速力は驚くほどではなく、アクセルペダルを踏み込んでみると、ターボラグのように若干のタメがある。

駆動用モーターは回転直後から太いトルクを発生させるため、ギクシャクした動きを軽減させるための設定なのだろう。もちろん、必要になれば不満のないパワーもすぐに引き出せる。

回生ブレーキは、ステアリングホイール裏のパドルで4段階から調整可能。ドライブモードにも、2種類が用意されている。段階的に回生ブレーキを調整できるため、BEV初心者でも運転しやすいと思う。

慣れてきたら、アクセルペダルだけで発進から停止までまかなえる、ワンペダル・ドライブを試して欲しい。とても良く機能すると感じるはず。

BEVクロスオーバーの立ち位置はブレない

2代目のニロEVは、操縦性や動力性能という点では目立った進化はない。だが、スタイリングやインテリアは一新され、モデルとしての熟成度を高めた印象を受けた。キアEV6に通じる、スタイリッシュなダッシュボードは特に魅力的。

ファミリーユーザーに好まれる、コンパクト・クロスオーバーとしての立ち位置はブレていない。ただし、価格が大きく変化するグレード・チョイスは良く考えたいところ。

キア・ニロEV プロトタイプ(英国仕様)
キア・ニロEV プロトタイプ(英国仕様)

試乗車は最上級グレードで、英国価格は4万495ポンド(約676万円)から。ワンランク上のモデル、キアEV6にも迫る金額となる。

エントリーグレードへ目を向ければ、3万4995ポンド(約584万円)へ下がる。こちらの方が、訴求力は間違いなく高い。モデルチェンジしたニロEVの、優れた強みを不満なく享受できるはずだ。

キア・ニロEV プロトタイプ(英国仕様)のスペック

英国価格:4万495ポンド(約676万円)
全長:4420mm
全幅:1820mm
全高:1570mm
最高速度:165km/h
0-100km/h加速:7.8秒
航続距離:458km
電費:6.2km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1739kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:64.8kWh(実容量)
最高出力:203ps/6000-9000rpm
最大トルク:25.9kg-m/0-6000rpm
ギアボックス:−

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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