他社には真似できないシトロエン 「既成概念にとらわれないクルマ」を作る 創造性のDNAとは

公開 : 2022.07.05 18:25

C5 X、C4、アミ、そして新型C4 Xなど、従来のカテゴリーにとらわれないモデルを数多く展開するシトロエン。競合他社にはできないことをするのがブランドのDNAであるといいます。

従来のカテゴリーに将来性はない 顧客が求めるものとは

シトロエンは、リスクを冒してでも「未来志向」であり続けるために、新しいカテゴリーに挑戦し続けるという。同社の戦略責任者が語った。

ステランティスに属するシトロエンは、最近、ファストバック、セダン、SUVの要素を融合させた新型C4 Xを発表した。同様のC5 Xや、SUVスタイルのハッチバックであるC4、そして超小型EVのアミなど、既成の枠にとらわれないモデルを複数展開している。

新型シトロエンC4 Xは、SUV、セダン、ファストバックの要素を融合させた独特の立ち位置にあるモデルだ。
新型シトロエンC4 Xは、SUV、セダン、ファストバックの要素を融合させた独特の立ち位置にあるモデルだ。

世界の主要市場でSUVが販売チャートを席巻している中、シトロエンの戦略責任者であるローレンス・ハンセンは、顧客が特定のトレンドを追うのではなく、クルマに必要な機能を重視するようになってきていると考えている。

「わたし達は問題に目を向け、他とは違った解決策を提案するのが好きなんです」とハンセン。「従来のクルマすべてでそうするわけではありませんが、各セグメントにおいて、モビリティの捉え方という点で競合他社とは少し異なる提案をするつもりです。なぜなら、当社の顧客もまったく異なるからです」

ハンセンによると、シトロエンの顧客は、比較的手頃な価格のクルマを求めるファミリー層が多く、「地球を大切にするため、他の人よりも電動モデルを選ぶ傾向がある」という。

Cセグメントでは、C4、C4 X、C5 Xとモデルがすべて揃ったとし、「BセグメントではEVの提案が必要なので、C3とC3エアクロスをリニューアルし、電動モデルにする予定です」と述べている。しかし、シトロエンは必ずしも従来のカテゴリーに当てはまるクルマを作るわけではないという。

「人はまずサイズを見ますから。従来のように『小型、中型、大型のクルマが欲しい』と思うこともあれば、『快適性と広さのあるBEVが必要だ』と思うこともあります。そして、結局はどうなるでしょうか?」

「『スタイリングが好きだから買う』という人が多いんです。普通、あるブランドを選ぶときは、スタイリングやサイズに惹かれているのかもしれませんが、多くの妥協点があります」

「現在のクルマのカテゴリーのままでは、確実に将来性はありません。例えば、クロスSUVとは何かを考えてみても、その答えはたくさんあるはずです。本当の問題は、お客様がUSP(製品独自の強み)や機能面で何を求めているかということ。そこから、想像をふくらませることができるのです」

ハンセンは、このアプローチには「常識に挑戦するブランド」というシトロエンの伝統が反映されているとし、「常識に挑戦することで、成功することもあれば、失敗することもある」と述べた。失敗のリスクを犯しても、そのアプローチこそシトロエンがライバルに差をつける鍵になるという。

「わたし達はアミを作りましたが、他の誰もアミのようなクルマに賭けることはなかったでしょう。でも、アミは大成功を収めました」

「ステランティスのポートフォリオを見ると、少しクレイジーで、さまざまなことを考えることができる親戚が必要に思えることがあります。CV20コンセプトを見てください。シトロエン以外の誰が、あの提案をすることができたでしょうか?それこそが創造性であり、創造性はシトロエンのDNAなのです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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