マイチェンで140psに出力アップ トヨタ・カローラ・ツーリングへ英国試乗 実力向上
公開 : 2022.07.14 08:25
2023年仕様として改良を受ける、カローラ・ツーリング。実力を一層引き上げる小変更だと、英国編集部は評価します。
もくじ
ー1.8Lハイブリッドが140psに
ー制御改善で向上したCVTのフィーリング
ー回生ブレーキの効きの強さも自動調整
ー実力を一層引き上げる小変更
ーカローラ・ツーリング・スポーツ(ツーリング)1.8ハイブリッド・プロトタイプ(英国仕様)のスペック
1.8Lハイブリッドが140psに
多くの自動車メーカーが、欧州で施行されるCO2排出量規制の達成のために、高効率なハイブリッド・モデルの開発と導入を急いでいる。そんななかで、トヨタは涼しい顔を保っている。
プラネタリー・ギアによるCVTを組み合わせた、シリーズ・パラレル方式のハイブリッド・システムは、1997年の初代プリウスから採用が始まった。以来改良を続け、多くのモデルのパワートレインを担うまでに成長している。
その最新版がカローラにも搭載されているが、マイナーチェンジにあわせて、システムがアップデートを受ける。英国仕様ではエントリーグレードとなる、1.8L版のハイブリッドではその変更度合いが特に大きいようだ。
今回試乗したステーションワゴンのカローラ・ツーリング・スポーツ(ツーリング)の場合、従来は最高出力が121psで、0-100km/h加速は11.1秒と平凡なものだった。しかし新しい2023年版では140psと9.2秒へ、大幅に向上するという。
しかも、単に速くなるわけではない。ドライビング体験の向上にも、しっかり時間が割かれている。トヨタのハイブリッドには付きものだった、CVT特有のダイレクト感に欠けるアクセルレスポンスが改善した。回転数が不必要に高まる特性も。
この年次変更は1.8L版だけでなく、2.0Lハイブリッドにも施されている。こちらは英国仕様で6psが上乗せされ、0-100km/h加速を7.5秒へ短縮。それでいて、CO2の排出量を107g/kmへ小さくしている。
制御改善で向上したCVTのフィーリング
さらに2.0L版では、駆動用バッテリーがニッケル水素から1.8L版と同じリチウムイオンへ変更される。それでも、変化度合いでいえば1.8L版の方が大きい。
トヨタによれば、ドライブ・モードの設定にも手を加えたとしている。マイナーチェンジ後のエコ・モードでは、駆動用モーターを活用する時間を長くすることで、エンジンの始動時間を短縮したそうだ。
また、駆動用モーター自体も強化されており、走りも若干活発さが増したという。第一印象の限りでは、その違いは極めて小さいようだけれど。
実際に運転してみると、郊外の道を積極的に走ればCVTだなと感じることは事実ながら、フィーリングはだいぶ良くなっている。フルスロットルを与えなければ、仮想の段数を含みつつ、高い回転数を保たないように制御されていることがわかる。
1.8Lエンジンは洗練性も高く、耳障りなノイズが聞こえてくることもない。燃費も良好で、今回の試乗では平均で20.4km/Lという数字が表示されていた。
筆者が感心したのが、ブレーキの効きの改善。従来のカローラ・ハイブリッドでは、助手席の人へ気付かせないように滑らかに止まることが難しかった。最新版ではペダル操作への反応が漸進的になり、体を揺さぶることなく、スッと停止することができる。