燃料価格の高騰で抗議デモ 朝の高速道路で「徐行」し車線封鎖 英国

公開 : 2022.07.05 19:05

英国で燃料価格の高騰に抗議するデモ隊が、高速道路を「徐行」する抗議運動を展開。全土で長い渋滞が発生しています。

前例のない価格高騰に怒り 燃料税引き下げを要求

英国で燃料価格の高騰に抗議する人々がデモを起こしている。高速道路を標的に「徐行運転」を行い、全土で長い渋滞を発生させている。

デモ隊は、ガソリンと軽油の価格が前例のないレベルにまで高騰しているため、燃料税を引き下げるよう政府に要求している。

デモ隊の「徐行運転」により、朝のラッシュアワーは大混乱に陥った。英政府は抗議の権利を見とめつつ、市民の生活や安全に支障をきたすものであってはならない、との声明を出している。
デモ隊の「徐行運転」により、朝のラッシュアワーは大混乱に陥った。英政府は抗議の権利を見とめつつ、市民の生活や安全に支障をきたすものであってはならない、との声明を出している。

英RAC(王立自動車クラブ)の最新データによると、ガソリン1Lあたりの価格は平均191.5ペンス(約316.3円)、軽油は現在199ペンス(約328.6円)程度で推移している。燃料価格はロシアのウクライナ侵攻で押し上げられ、特に英国では、原油の取引通貨である米ドルに対するポンド安によって顕著になっている。

BBCの報道では、ウェールズ、デボン、エセックスの高速道路は現在、デモ隊が交通量の多いエリアをゆっくりと運転していることの影響を受けているという。また、デモ隊の車列は主に3車線の高速道路をターゲットにしており、内側の2車線を事実上封鎖し、外側の車線を空けるようにしているという。

現地時間の今朝7時過ぎに始まったこの抗議行動により、影響を受けたエリアの警察は、「一日中深刻な混乱が生じる」可能性があると警告している。

グエント警察のトム・ハーディング警視は、「抗議デモの影響でプリンス・オブ・ウェールズ橋の東西に大きな遅れが出ている」とコメント。

ロンドンからウェールズに至る高速道路M4は、このデモの影響を最も大きく受けており、区間の一部がほぼ完全に停止した。デモ隊の車列は、イングランドとウェールズを結ぶ幹線道路であるプリンス・オブ・ウェールズ橋を両方向から狙っている。その影響は大きく、橋の東側は閉鎖を余儀なくされた。

このほか、デボンではM5のエクセター付近からデモ隊が徐行しながら北上を続け、エセックスのコルチェスター付近ではロンドン行きのA12の通行を約20台の車列が妨げている。

他のエリアでも、スコットランド警察が抗議活動を認識していると述べたが、どこで行われているかの詳細は明らかにしなかった。

リシ・スナック財務大臣は3月、燃料税を1L当たり5ペンス引き下げたが、価格上昇に歯止めをかけるには至っておらず、「より大幅な」引き下げを求める声を慎重に検討すると述べた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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