DS 4 詳細データテスト 快適性は狙い通り ATの制御とブレーキペダルに難あり PHEVは高い

公開 : 2022.07.09 20:25  更新 : 2022.08.23 00:33

走り ★★★★★★★★☆☆

パフォーマンスライン・プラスというグレード名は、GTI的なものを想像させるが、あくまでもスポーティな装備のグレードにすぎない。それはともかく、システム総合で225psを発生するE−テンス225は、DS 4の最速スペックモデルだ。同じパワーでより軽量なピュアテック225に比べ、0−100km/h加速タイムが0.2秒早いというのは意外だった。

ハイブリッドゆえに、パワーバンドとトルクバンドが広いことがその理由だろう。1.6L直4ターボのガソリンユニットのスペックは180ps/30.6kg-mで、ピュアテック180とまったく同じ。これに110ps/32.6kg-mの電気モーターが加わる。

パワートレインは力強くスムースで、トランスミッションは自動変速には問題ないが、手動変速やキックダウンは使いづらい。さらに、ブレーキはレスポンスが不安定だ。
パワートレインは力強くスムースで、トランスミッションは自動変速には問題ないが、手動変速やキックダウンは使いづらい。さらに、ブレーキはレスポンスが不安定だ。    JOHN BRADSHAW

このふたつのパワーソースが協調して、ほぼ乾燥した路面でのゼロ発進では7.4秒で97km/hに達する。ガソリンエンジン自体がパワフルなので、速度が高くなっても力強い加速が続き、30.8秒で209km/hに届く。EVモードでも加速性能を計測したところ、路面はウェットだったが、0−97km/hは12.8秒で、最高速度は137km/hだったので、十分に実用的だ。

このパワートレインが洗練されていることは、ほかのクルマで実証済みだが、それは4にもいえる。パワーが不足している点を除けば、1.6Lのピュアテックユニットはスムースで静かだ。

電力とガソリンとのバトンタッチもほとんど完璧。センター画面は、EVモードとハイブリッドモードのいずれを選ぶべきか、バッテリーを充電するか、今ある電力を維持するか、といったマネージメントを容易にしてくれる。また、目的地到着時にどれくらいの電力を残しておきたいか、決めることもできる。

アイシン製の8速トルクコンバーターATの作動は、十分なスムースさと迅速さをみせる。少なくとも、自動変速にしている限りは。シフトパドルは備えているが、上手く使うのは難しい。なにしろ、入力に従うより無視することのほうが多いのだから。

このトランスミッションのせいで、中間加速もベストなタイムを出すことができなかった。というのも、キックダウンスイッチまでペダルを踏み込まなくてもキックダウンしてしまったりするのだ。

さらに大きな欠点は、ブレーキペダルのレスポンスにある。絶対的な制動力は問題なく、ほぼA250eと同等だった。問題なのは、ペダルフィールが柔らかすぎて一定しないことだ。48km/hから一定した軽い圧をかけて制止しようとすると、途中で減速度が変わってしまう。スムースなドライビングをしようとする上では望ましくなく、やる気を削がれ、いい結果に結びつかない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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