日産サクラ&三菱eKクロスEV 実の伴うプレミアムに試乗 航続距離180kmEVはズバリ買い?

公開 : 2022.07.08 17:00

「航続距離180kmEV」は買いか?

航続距離のカタログスペックは180km。

この試乗での車両情報表示による電費はおよそ8km/kWh。

日産サクラ
日産サクラ    宮澤佳久

実使用容量を80%で計算すると航続距離は130km。

非効率な運転をしなければ高速巡航でも100kmは問題なし。

得意な市街地も高速も電力消費に差がないのは高気温高湿度の天候でのエアコン負担の影響が大きく、市街地でもちょっと渋滞すると6km/kWh台に落ちる。

さすがにこの航続距離では距離を延ばす用途には厳しく、コミューター用途限定と考えるべきだろう。

しかし、航続距離以外は極めて完成度の高いBEVである。

最高出力が同じ47kWでもターボ車とは動力性能の質が違う。

速いのではない、運転が楽なのだ。

据わりとしなやかさを両立したフットワークも然り。

運転に関わるストレスフリーの度合いは既存の軽乗用と次元違い。

安心楽々は走行性能で最も優先されるべきであり、サクラ/eKクロスEVはBEVの可能性を示した。

ターボ車との価格差は100万円以上。

軽乗用の上位モデルとして選ぶにしても高価過ぎる。

ただ、走りの質についていえば300万円近い価格も納得できる。

形は軽乗用でも質はプレミアムコンパクトと同等以上である。

航続距離の制限が残念ではあるが、実の伴うプレミアムをタウンコミューターに求めるなら投資価値は十分だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。

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