アバルト595 コンペティツィオーネと比較 フィアット500e 長期テスト(4)
公開 : 2022.07.23 09:45 更新 : 2022.08.08 07:06
かわいいカタチのフィアット500が純EVに。日本導入も始まった最新ハッチバックを、長期テストで検証します。
もくじ
ー積算4504km 再起動で消えたシステムエラー
ー積算4797km 充電ケーブルの収納場所
ー積算4997km 0-50km/h加速は595に勝る
ー新世代だと実感するインテリア
ーアバルト版500eはどんなクルマ?
ーテストデータ
積算4504km 再起動で消えたシステムエラー
ある朝、フィアット500eに乗ろうとすると、メーターパネルに警告メッセージが表示された。「SOSエラー。SOSシステムを確認してください」
モニター上では対処法がわからず、ユーザーマニュアルを確認したが、原因はディーラーへの訪問が関係するようだ。何度か再起動を繰り返すと、エラー表示は消えていた。ちなみに、これまでも異なるシステム的なエラーを何度か経験している。
積算4797km 充電ケーブルの収納場所
フィアット500eは非常にコンパクトなクルマだとはいえ、通常の充電ケーブル専用の収納場所は確保して欲しかった。現在は荷室フロアの下側、パンク修理キットと一緒にしまっている。
急速充電器用のケーブルには、収納バッグが付いている。荷室の一部を専有するとはいえ、きちんと片付けられた方がずっと良い。
積算4997km 0-50km/h加速は595に勝る
有能なバッテリーEV(BEV)には、ガソリンエンジン車を超える加速性能を持つものもある。それは、テスラ・モデルS プレイドやロータス・エヴァイヤといった、高価格帯に属するモデルだけとは限らない。
小さなシティカー、フィアット500eも、ガソリンで走るフィアット500よりダッシュ力は鋭い。アバルト595 コンペティツィオーネにオプションを幾つか追加した金額で、BEVの500eも購入することができる。今回は、この2台を比べてみよう。
実は、赤信号から数秒間のスタートダッシュは、500eが595 コンペティツィオーネより僅かに勝っている。特に勇ましい見た目ではなくても。とはいえ、単に速いという理由でアバルトを諦めることが難しいのも理解できる。
2台とも、0-50km/hの加速は約3.0秒。最高出力は60psほど500eの方が低く、最大トルクも22.3kg-mと25.3kg-mで、595 コンペティツィオーネの方が高い。車重も300kg重たいが、駆動用モーターの特性上、初期加速では有利なのだ。
一方で、500eの加速度はスピードの上昇とともに衰えていく。0-97km/h加速で見ると、595 コンペティツィオーネの方が約2.0秒速い。4気筒エンジンの、爽快なサウンドも楽しめる。
新世代だと実感するインテリア
500eは、郊外の一般道の運転が想像以上に楽しい。サスペンションが引き締められているのに加えて、駆動用バッテリーがフロアに搭載されており、重心が低いことが功を奏しているのだろう。
ステアリングの操舵感は軽く、路面の感触は伝わりにくいが、ノーマル・モードでの回生ブレーキの強さはエンジンブレーキと同等で自然。ドライビング体験を比べれば、595 コンペティツィオーネとの違いは間違いなくあるが、その差は小さい。
インテリアは、デザインの新しい500eの方がモダン。595 コンペティツィオーネのバケットシートとターボブースト計にはそそられてしまうが、2008年に導入されたアバルト500の改良版であることは明らかだ。
500eには、このクラスでは最高水準のインフォテインメント・システムも実装されている。鮮明に、新しい世代のクルマだと感じられる。
今回は595 コンペティツィオーネを1週間ほどお借りしたが、とても興味深い比較になった。アバルト版500eがどんなクルマになるのか、想像せずにはいられなかった。