2022年版 ただひたすらに楽しいスポーツカー ベスト10 メーカーの力量が問われる1台

公開 : 2022.07.10 06:05

3. モーガン・スーパー3

先代のモーガン3ホイーラー(1909年のオリジナルではなく、2012年のモデルチェンジ後)は、同社にとって意外なヒット作となった。10年間で約2500台が販売されたが、これはモーガンのような小規模メーカーにとっては、限りなくメガヒットに近い。

2022年に公開された新型車は、名前を「スーパー3」に改め、先代モデルと同じスピリットと魅力を持ちながら、より汎用性の高い現代的なパッケージングにまとめられている。モーガンのさらなる飛躍が期待される1台だ。

3. モーガン・スーパー3
3. モーガン・スーパー3

ユニークな3輪レイアウトや、ひっくり返ったバスタブのような外観はそのままに、より強固なモノコック構造、洗練されたサスペンション、従来のハーレーダビッドソンのVツインエンジンに代わるターボチャージャー付き3気筒エンジン(フォードフィエスタと同じ)が搭載されている。

重量はわずか635kg、最高出力120psのスーパー3は、マツダロードスターから拝借した軽快な5速マニュアル・トランスミッションによって、その真価を発揮する。なんともスキニーなタイヤでコーナリングに挑むとき、代えがたい喜びを与えてくれるのだ。適度なグリップとバランスのとれたハンドリングは、どんな速度域でも非常に楽しい。

ただし、屋根が無いということは、長時間の移動の際には注意が必要ということだ。英国仕様で4万ポンド(約650万円)という価格は「お手頃」とは言い難いものだが、毎日利用するような街中の道路を走るだけでも、これほど心が弾むクルマはないだろう。

4. トヨタGR86

完璧を超えるにはどうすればいいだろう?普通なら、トヨタ86の後継を作ろうとしたとき、もう少しパワーを追加し、外観とインテリアを顧客の希望通りにリフレッシュしておしまいだろう。

しかし、GR86にはそれ以上のものが備わっている。まず、シャシーとシェルを鍛え上げた上で、排気量2.5L、最高出力234psに強化された、筋肉質なフラット4エンジンを搭載。サスペンションとステアリングは基本的に同じだが、タイヤはミシュラン・プライマシーHPとパイロットスポーツ4が用意されている。

4. トヨタGR86
4. トヨタGR86

その結果、走りの本質はほとんど変わらず、公道でもサーキットでもどんな速度でも、美しいバランスと見事なまでに調整された後輪駆動のハンドリングを発揮することができる。ただ、エンジンのパワーアップで加速力は上がったが、それ以上のものはないし、ハードに走らせたときにはまだ少し個性が足りない。

外観は以前よりモダンになり、インテリアは実用性を犠牲にすることなく、より上品に仕上がった。そして、300万円以下からという価格も魅力的だ。

新型GR86は、欧州でも大きな注目を集めた。しかし、EUの排ガス規制によって、トヨタが欧州市場で販売できるのは2年間だけということになっている。英国では、割り当て分が受注開始から1時間半で完売している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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