2022年版 ただひたすらに楽しいスポーツカー ベスト10 メーカーの力量が問われる1台
公開 : 2022.07.10 06:05
5. マツダ・ロードスター
この4代目マツダ・ロードスターには、先代を超えられない部分は1つもない。小さく、軽く、広々とした室内空間と優れたレイアウト。外観はシャープになり、それでいて控えめで、まったく派手さは感じられない。また、より速く、より質素で、さらに生き生きとした魅力的なドライビングができるようになった。
2018年、マツダはこの象徴的なスポーツカーに改良を施した。主要な変更点は、1.5Lと2.0L(RF)のエンジン出力が向上したことだ。また、唯一の難点であった運転姿勢についても、歴代初のテレスコピック・ステアリングの導入により改善された。
その他にも細かな改良を積み重ねた結果、ロードスターは非常に活気に満ちた、比類ないスポーツカーとなっている。そのキャラクターは30年間まったく変わっておらず、1円あたりで得られる笑顔の量は、このリストの中でもダントツだ。
6. ケータハム・セブン170
70年以上にわたって、あらゆる形態のセブン(ロータスとケータハム)は、ピュアなドライビング・スリルの基準を打ち立ててきた。NVH(騒音・振動・ハーシュネス)を無視し、ユーロNCAPも恐れず、走る楽しさだけに集中するなら、この小さな英国製スポーツカーに勝つことは難しい。
新型セブンで最も手頃に乗れるのは170で、日本価格は170Sが539万円(税込み)からだが、英国ではスパナを使って自分で組み立てるなら2万4995ポンド(約400万円)からとなっている。軽自動車規格でありながら、スズキ製660ccターボエンジンは最高出力85psを発揮する。
見た目はちょっと貧弱だが、440kgというライトウェイトを活かして0-97km/h加速を7秒以下で走り、3気筒エンジンのうなり声がずっとドライバーを励ましてくれるのである。
しかし、セブンにおいて最も楽しいのは、これまでと変わらず直線と直線の間にあるコーナー区間だ。ライブリアアクスルを採用しているので、洗練された乗り心地は持ち合わせていないが、細いタイヤと手首を喜ばせるステアリングでコーナーをあっちへこっちへと踊り、グリップとスリップの境界線が明確に示されているため、常に反社会的とは程遠い速度で堪能できる。
4輪車の中で最も無邪気で爽快な楽しさかもしれない。
7. トヨタGRスープラ
2019年、トヨタ・スープラは最も熱い期待が寄せられた新型車だったろう。約20年にわたる欠番も終わり、伝説的なスポーツカーがついに帰ってきたのだ。しかし、BMWとのコラボレーション(そこから新型BMW Z4も生まれた)がなければ、復活は実現しなかった可能性が高い。
GRスープラの中身、すなわちエンジン、プラットフォーム、トランスミッション、デフ、電気系統、そして多くのスイッチ類が、すべてバイエルン製である。この事実に対し、物申したい人も少なくないだろう。
しかし、走りの面では、GRスープラ独自のアイデンティティを確立している。サスペンション、ステアリング、デフのキャリブレーションはすべてオリジナルのもので、トヨタはZ4ではなく、ポルシェ718ケイマンを主要ライバルと見ているのもうなずける。
手抜かりはない。GRスープラは多くの点で優れたスポーツカーである。ポルシェの純粋なハンドリングとバランスには敵わないかもしれないが、遠く及ばないということはない。乗り心地は驚くほどしなやかで、エンジンもなめらかで個性豊かなため、日常的な使い勝手もはるかに楽だろう。
「RZ」は730万円以上とやや高価かもしれないが、2.0L直4の「SZ」なら500万円以下で買える。さらに、これまで要望の多かった6速MTが、2022年から日本国内でも選べるようになったのだ。GRスープラは、オールドスクールなスポーツスターとして、ますます輝きを増している。