2022年版 ただひたすらに楽しいスポーツカー ベスト10 メーカーの力量が問われる1台
公開 : 2022.07.10 06:05
8. BMW Z4 M40i
英AUTOCAR編集部によるグループテストでは、最上位モデルのBMW Z4 M40iが、下位モデルのポルシェ718ボクスターTに勝利した。
最終的には、ボクスターほどの落ち着きやハンドリングの精細に欠けると結論づけられたが、洗練性の高さ、パワフルで反応の良い直6エンジン、あざやかな直線加速は、非常に高い評価を得た。また、ストリートファイターとしての個性が際立っていることも美点である。
とはいえ、718の上位モデルの方がピュアで魅力的な存在であることに変わりはない。BMWには間違いなくエキサイティングな体験ができる素質があるが、精密機器としては、同クラスの軽量・小型のライバルにはまだ及ばないようだ。
9. アウディTT
現在のアウディTTは、スタイルばかりで中身が伴わず、本当に走り好きのドライバーには響かないという意見に対するアウディの回答のように感じられる。そのように感じられるのは、先代にはなかったシャープなハンドリングレスポンスと軽快な動き、そしてパンチの効いたエンジンを備えているからだ。
プレミアムなデザインと使い勝手の良さを、比較的リーズナブルな予算で手に入れたい人は、まず最高出力310psのTT Sを検討すべきだろう。優秀なホットハッチである7代目フォルクスワーゲン・ゴルフRと同じ4輪駆動パワートレインを採用し(8代目ゴルフRのリアトルクスプリッターは使用していない)、見た目の車高もかなり低く、無駄の少ないスリムなデザインになっている。
ハンドリングはダイレクトかつ軽快で、高速走行も容易に続けられる。しかし、多くのドライバーが求めるような、ダイレクトな操作感は薄い。その分、安心・安定感のあるドライビングを楽しめるし、上級クーペとして別の嗜み方もできるだろう。
10. フォード・マスタング
合理性を追求するなら、アウディTTかBMW 2シリーズ・クーペを買う方がいいのかもしれない。
確かに、マスタングというクルマは、日本では大きな欠点がある。4.8m近い全長と、1.9mを超える全幅は、必ずしも国内で扱いやすいサイズとは言い難い。駐車する場所をよく考えなければならないし、大食漢の5.0L V8では、ドイツ製あるいは日本製のスポーツカーに乗る仲間よりも給油所に行く回数は必然的に多くなる(2.3Lエコブースト搭載車は多少マシ)。
しかし、これほど明白で好感が持てるキャラクターのクルマも珍しいだろう。それに、欠点があるからこそ愛着が湧くというものである。マスタングのV8エンジンには、気筒数の少ないエンジンにはない魅力があり、シャシーのバランスも実にいい。フォードのセンスが光っている。
フォードが日本から撤退して久しいが、英国向けモデルを輸入すれば右ハンドル車に乗ることもできる。