アルファ・ロメオ 家族連れや女性を新たなターゲットに ブランドイメージ一新目指す

公開 : 2022.07.11 06:05

アルファ・ロメオは、ファミリー層や女性など新しい顧客層をターゲットに販売台数を増やすため、ブランドイメージの一新を図っています。

イメージ一新で販売台数の倍増目指す

アルファ・ロメオは、より多様な顧客層に向けてブランドを成長させ、来年末までに生産台数を倍増させたいと、同社の英国部門責任者ダミアン・ダリーが語った。

ダリーは英AUTOCAR編集部に対し、アルファ・ロメオが「エモーショナルなブランドから合理的なブランド」へと移行し、販売台数の大きいセグメントへと製品を拡大したいと考えていることを明かした。

アルファ・ロメオ・トナーレは新たな顧客層を狙った小型SUVだ。
アルファ・ロメオ・トナーレは新たな顧客層を狙った小型SUVだ。    AUTOCAR

このビジョンに基づき、5月に欧州で発売された新型コンパクトSUVトナーレを皮切りに、2030年まで毎年新型車を発売していく予定だ。また、アルファ・ロメオは2027年までに内燃機関を完全に廃止する計画で、2024年には「ブレンネロ」と呼ばれる電動SUVをリリースする。

ダリーによると、この一連の動きは、ファミリー層や女性を視野に入れた新しい顧客層獲得のためのものだという。現在、アルファ・ロメオの主な顧客層は中高年の男性だ。

「アルファはスポーティなブランドと見られているため、この点が課題です」とダリーは述べ、トナーレのハイブリッド・システム(最高出力160ps)のような、ブランドの魅力を広げるためのアイデアを現在も考案中であるとしている。

本来の「アルファらしさ」も忘れない?

「アルファのストーリーをより多くの人々に伝えながら、自分たちの仕事に純粋であることが必要だと思います」とダリー。

昨今、SUVが世界的に人気を博す一方で、セダンの需要は著しく減少傾向にある。しかし、アルファ・ロメオは新しい方向性を打ち出しながら、従来の顧客層とその要望も重視し、ジュリアのようなセダンの存在は今後もブランドの一部であることに変わりはないという。

アルファ・ロメオは2027年にはエンジン車を廃止し、完全なEVブランドとなる計画だ。
アルファ・ロメオは2027年にはエンジン車を廃止し、完全なEVブランドとなる計画だ。    AUTOCAR

「セダンはアルファ・ロメオが常に目指してきたものの一部です。市場はセダンから離れていくかもしれませんが、わたし達はまだセダンを信じています。しかし、まずはトナーレで量販セグメントに参入したいと考えています」

「アルファ・ロメオはスポーティであり、イタリアンデザインです。それこそわたし達が忠実に守らなければならないものなのです。仮にミニバンが再び人気を博したとしても、その市場に参入することはないと思います。決してうまくいかないでしょう」

2シーターのスポーツカーもいずれ復活

ダリーはまた、将来的にスポーツカーに回帰することも否定していない。

2シーターの新型車はいつ登場するかという質問に対して、彼はこう答えた。「小さなセグメントなので、すぐにはできません。しかし、誰もがアルファに求めているはずです」

3ドアのミトは、今後5ドアのEVとして復活する可能性がある。
3ドアのミトは、今後5ドアのEVとして復活する可能性がある。    AUTOCAR

「持続可能なビジネスモデルを形成し、量販セグメントに参入し、ビジネスを成長させ、そうすればまた夢を見ることができるでしょう」

「わたし達は、信じられないようなことを実現できるブランドなのです。15万ポンド(約2500万円)のクルマを売ることができる自動車ブランドです。非常に限定されたモデルであれば、50万ポンド(約8000万円)のクルマも売ることができると思います」

「今後も素晴らしいことがたくさんありますが、まずはこのエモーショナルなブランドを、合理的なレベルにまで落とし込んでみましょう。ボリュームゾーンに身を投じるのです。人々に、ブランドへ目覚めてもらうのです」

新たな方向性の一環として、コンパクトハッチバックのミトも復活する可能性がある。以前AUTOCARの取材に応じたダリーは、新型ミトの登場を認めるには至らなかったが、次のように語っている。

「アルファ・ロメオは、アルファスッドのようなコンパクトなスポーティカーを販売してきた歴史があります。大量生産が可能で、幅広い提案のできる、とても興味深いカテゴリーです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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