北米専用マツダCX-50試乗 乗り味で感じる「アメリカ」 CX-5の兄貴分の出来栄えは?
公開 : 2022.07.10 18:25
乗り味で感じる「アメリカ」
「CX-3とCX-30の関係」と同様なのは、販売面にもいえる。
CX-50はCX-5の純粋な後継車ではないから登場後もCX-5は継続して併売している。
価格を見ても、CX-5が2万6250~3万9000ドル(約360~530万円)、CX-50は2万6800~4万1550ドル(約365~570万円)と「CX-5のちょっとうえ」なのだ。
気になる室内の広さだが、それも実に巧み。
後席の膝回りスペースも荷室も、CX-5より「わずかに」広い。
大幅に広げなかったのは「CX-70」との関係を意識したからだろう。
試乗して感じたのが、乗り味でもアメリカを感じさせることだ。
たとえばハンドリング。
微小舵角で俊敏性を印象付ける日本のマツダ車に比べると、CX-50はおっとりとしている。
その理由は足元で、北米向けの一般的なことだが全車にオールシーズンタイヤを履いていることにある。
オールシーズンタイヤはサマータイヤに比べると構造が柔らかく、それにあわせたサスペンションやパワーステアリングのチューニングがおこなわれたことで、日本向けのマツダ車とは印象の異なる味付けになっている。
そしてそんな味付けは、日本ではCX-5に用意されたオールシーズンタイヤ装着グレード「フィールドジャーニー」と同様のテイスト。
CX-5の他グレードのほどハンドル微小舵に対するシャープさはないが、挙動は素直でコーナーも楽しめるし曲がり方やロールも安定している。
そして、乗り心地もよい。
「カリフォルニアロール」のよう
また、現地で用意されるターボエンジンもアメリカらしい。
搭載するエンジンの排気量はすべて2.5Lで、自然吸気のほかターボ付きも用意。
日本では「オーバースペック」と思われがち(日本では「マツダ6」や「CX-8」に搭載。CX-5にも積んでいたが昨年末のマイナーチェンジでドロップ)だが、現地に行くとこれがちょうどいい。
特性としては低回転トルク型。
回して楽しいわけではないが、低回転域はディーゼルかと思う高トルクでグイグイと車体を加速させる。
現地ではフリーウェイの合流時に強い加速を求められるが、そこにこのエンジン特性がジャストマッチ。
豊かなトルクの大排気量V6のような感覚でアメリカを感じさせる。
そんなCX-50は、まるでカリフォルニアロールのような存在だ。
カリフォルニアロールはアメリカで考案されたアボカドやカニカマ、時にはサーモンやチーズを裏巻きとした巻き寿司のこと。
お寿司自体は言うまでもなく日本発祥だけど、ローカライズされたことで本国とは一味違う仕立てになっている。
カリフォルニアロールは現地では一般的な食べ物だが、果たしてCX-50もメジャーな存在となれるだろうか。
個人的な印象でいえば、なれそうな気がして仕方ない。
マツダCX-50のスペック
価格:2万6800~4万1550ドル(約365~570万円)
全長:4719mm
全幅:1920mm
全高:1605mm
ホイールベース:2815mm
パワートレイン:直列4気筒2500cc(NAとターボを設定)
最高出力(NA):190ps/6000rpm
最大トルク(NA):25.7kg/4000rpm
最高出力(ターボ):260ps/5000rpm
最大トルク(ターボ):44.2kg/2500rpm
ギアボックス:6速オートマティック