絶妙の公道セッティング BMWアルピナB4 グランクーペへ試乗 495psの直6 後編

公開 : 2022.07.17 08:26  更新 : 2022.07.18 10:14

BMW傘下化が決まったドイツの名門、アルピナ。現体制による最新の4ドアクーペを、英国編集部が評価しました。

M4より滑らかな6気筒サウンド

BMWアルピナのラインナップへ加わった、B4 グランクーペ。通常の4シリーズ・グランクーペと同じく、サスペンションやステアリング、エンジンの設定を変更できるドライブモードが搭載されている。

今回はサーキットだから、シャシーもエンジンも、最も引き締まったものを選ぶことにした。コンフォート・モードを選んでも、この場所では乗り心地を判断しにくい。

BMWアルピナB4 グランクーペ(欧州仕様)
BMWアルピナB4 グランクーペ(欧州仕様)

大きなグランクーペで、鋭い加速や減速、旋回といった能力を確かめるのにも適している。気温が高いから、クルマにとっては酷ではあるけれど。

コースインすると、鋭いダッシュ力に感心する。B4 グランクーペは、0-100km/h加速を3.7秒でこなすという。シフトチェンジはスムーズでクイック。エンジンは勢いよく吹け上がる。

このモードでは、アクセルペダルを一気に放すと、アフターファイヤーの破裂音がエグゾーストノートに混ざる。M3やM4で記憶しているものより、エンジンサウンドにはザラつきが少ない。直列6気筒らしい音だが、より滑らかに聞こえる。

試乗の合間に、サーキットを周回するBMWアルピナを眺めていたが、ガソリンターボのB4でもディーゼルターボのD4でも、排気音のボリュームは抑えられている。放たれるサウンドに包まれるのは、クルマが目前を通り過ぎる時くらいだった。

素晴らしいシャシーバランスに感動

ステアリングホイールには、丁度いい重みづけが与えられ、レシオも速すぎず遅すぎず。精度が高く、とても操舵しやすい。ボディの動きは機敏でありながら、しっかり抑制されている。

ブレーキング時は穏やかにフロントノーズが沈み込み、フロントタイヤの設置性を高められる。そこからコーナーへ切り込んでいくと、素晴らしいシャシーバランスに感動する。

BMWアルピナB4 グランクーペ(欧州仕様)
BMWアルピナB4 グランクーペ(欧州仕様)

アルピナの技術者へ、コーナーへの侵入速度について話を伺う。過度に高いスピードを保とうとすると、穏やかなアンダーステアに落ち着くという。特に、長く続くような高速コーナーでは。

フロントエンジン・リアドライブで、全長が4.8m、車重が1965kgあるサルーンとして、自然な挙動といえる。ドライバーとしても、大きな不安は抱かないだろう。

一方で侵入速度を若干抑えることで、フロントノーズはコーナーの頂点を目指すようになる。その間、横方向のグリップ力は絶妙に維持される。そして、アクセルペダルの操作でライン調整できつつ、脱出加速へと繋げていける。

引き締まったドライブモード時は、アクセルオフでエンジンの回転数が鋭く下がる。右足の力加減で、シャシーバランスを活かし、コーナリング時のスタンスを自在に調整することもできる。Mモデルのようにドリフト・モードは備わらないが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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