ペースメーカーをつけたままEVに乗れる? 電磁場の心配は? 読者からの質問に回答

公開 : 2022.07.12 06:25

EV(電気自動車)の運転は、心臓のペースメーカーに影響を与えるのか。電磁場の影響を調べた研究結果が2020年に発表されています。

読者からの質問に回答

AUTOCARの英国編集部には、英語圏の読者からさまざまなお便りが寄せられる。先週は、あまり気にしていなかったけれどちょっと興味を惹かれる質問をいただいたので、こちらで紹介したい。

オーストラリアからの質問「ペースメーカーを付けている人がEVを運転しても大丈夫なの?」

白状すると、この疑問は筆者の頭をかすめることさえなかった。幸いなことに、ミュンヘンの大学や心臓血管研究センター、ニュージーランドのウェリントン病院の科学者たちが、このテーマに関する研究結果を2020年に発表している。結論から申し上げると、問題はない。

現時点では、EVの電磁場がペースメーカーや植込み型除細動器に与える問題は無いとされている。
現時点では、EVの電磁場がペースメーカーや植込み型除細動器に与える問題は無いとされている。

研究チームは実験で、さまざまな心臓植込み型電気デバイス(CIEDs、ペースメーカーや除細動器のこと)を装着した108人の参加者を、4台のEV(BMW i3日産リーフテスラモデルSフォルクスワーゲンe-Up)の電磁場にさらした。実験施設にてフルパワーで運転させたり、充電したりしたという。

EVは電磁場を発生させるが(特にバッテリー周辺)、他の車載電子機器との干渉を防ぐために十分に遮蔽されている。

この実験で記録された最も高い電磁場は、32Aで充電中のケーブル周囲に発生した。ケーブルはクルマ本体ほど遮断されていなかったためだ。

研究チームは、急速充電器についてさらなる研究を推奨している。急速充電器は非常に大きな電流、つまり大きな電磁場を発生させるが、市場の需要に合わせてどんどんパワーアップしている。なお、昨年末の研究では、CIEDsへの干渉は全く見られなかったという。

友人からクルマの相談 筆者の独り言

友人から相談「シビックカローラ、どっちにしよう?やっぱりシトロエンで」

クルマに興味のない友人が、クルマの購入について相談にのってほしいとメールをくれた。彼は、中古のホンダ・シビックと新型のトヨタ・カローラ・ハイブリッドを候補に挙げている。

それはそれで悪くない選択肢だ。筆者は、クルマのことを何も知らない人にクルマを勧める場合、そのようなモデルを挙げることにしている。信頼性が高く、目立たないけれども、台所の蛇口のように生活に溶け込むクルマだ。この記事を呼んでいるような方にはモーガン・スーパー3を買うことを勧めるが、世の大半の人はそういうわけにもいかない。

クルマの購入の相談に乗るというのは、意外と難しいものだ。おすすめしたものと全く違うクルマを選ぶことなんてザラにある。
クルマの購入の相談に乗るというのは、意外と難しいものだ。おすすめしたものと全く違うクルマを選ぶことなんてザラにある。

とにかく、経済的なカローラで節約できるお金は、シビックより高い購入費用を相殺できるのだろうか、と彼は悩んでいる。

それは、君がどれだけ長く乗るか、どれだけ走るか、そして燃料価格がどうなるかによる、と筆者は答える。電卓ではじき出すのも難しい。だから、両方のクルマを試乗してみて、気に入ったほうを買ったらどうかと提案したのだ。そして彼は、気に入ったというシトロエンC3を買って見せに来た。

どんなに客観的に見ても、クルマはわたし達にさまざまな形で語りかけてくるのだということを、あらためて思い知らされた。

歯医者で考えたこと

歯医者からの帰り道は、いつも昔の失敗を思い出してしまう。18歳のとき、自分のものではないミニのハンドルで前歯を折ってしまったのだ(スティーブ、ごめんね)。

超音波で歯の表面を削っている間は、他事を考えるようにしている(だって楽しくないから)。その過程で、歯の手入れは古いキャブレターの手入れと同じかもしれないと思った。

最近のガソリンに含まれるエタノールは吸湿性があり、大気中の水分を取り込むという性質がある。エタノールが10%含まれる「E10」よりも、5%しか含まれていない「E5」の方が古いキャブ車には優しいみたいだ。

放置されたキャブを分解してみると、目詰まりしていたり、腐食していたりと、かなりひどい状態になっていることがある。自分のバイクはそうならないように、冬でも定期的にエンジンをかけている。歯と同じで、その方がいいと思うのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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