懐かしのイタリアン・ロードスター アルファ・ロメオ・スパイダー & フィアット・バルケッタ 後編

公開 : 2022.07.30 07:06

マツダ・ロードスターに負けじと魅力的だった、イタリアン・ロードスター。英国編集部が懐かしい2台を振り返ります。

2.0L 4気筒のほかV型6気筒エンジンも

アルファ・ロメオ・スパイダーの4気筒エンジンは、お得意のツインスパーク。バルケッタと同じ、プラトラ・セラと呼ばれるシリーズ・ユニットだ。

2.0Lのスチール・ブロックにアルミ製ヘッドを載せ、可変吸気バルブタイミング機構と燃料噴射を採用。回転を滑らかにするため、カウンターシャフトを2本備える。

ブルーのフィアット・バルケッタと、レッドのアルファ・ロメオ・スパイダー(916型)
ブルーのフィアット・バルケッタと、レッドのアルファ・ロメオ・スパイダー(916型)

最高出力152ps、最大トルク18.9kg-mを発揮し、フィアット・バルケッタよりパワフル。だが、310kg多い車重をカバーするには充分ではなかった。これでは不満という人に向けて、12バルブのV6エンジンも設定。2000年に24バルブへ置換されている。

モデル末期には、2.0L版がダイレクト・インジェクション化され、ツインスパークは終了。V6エンジンには3.2L版が投入された。2.0L V6ターボも存在したが、英国には上陸していない。また1996年には、右ハンドル車も用意されている。

バルケッタほど個性的ではなかった見た目もあって、スパイダーGTV クーペは良く売れ、1990年代にアルファ・ロメオのルネッサンスを実現させた。そのため、改良も定期的に受けている。

中期型のフェイズ2が登場したのは1998年。クロームメッキのフロントグリルや、センターコンソールのアップデートが与えられている。フェイズ3の登場は2003年で、同じくボディとインテリアに手が加えられた。

生産は、当初ミラノ郊外にある自社のアレーゼ工場が受け持ったが、途中でピニンファリーナ社へスイッチ。スパイダーは、3万9088台がラインオフしている。GTVクーペも、同じくらい作られた。

殆どオリジナル状態のブルーのバルケッタ

今回ご登場願ったフィアット・バルケッタは、初期型のシリーズ1。オランダから英国へ並行輸入されたクルマで、現オーナーのエリック・トランプ氏は、2019年8月にロンドン南部の専門店で購入したという。

「以前は1998年式のリミテッド・エディションを所有していました。グリーンのボディで、9年間、素晴らしい時間をともにしました。通勤が楽しみの1つでしたね」。と彼が振り返る。

ブルーのフィアット・バルケッタと、レッドのアルファ・ロメオ・スパイダー(916型)
ブルーのフィアット・バルケッタと、レッドのアルファ・ロメオ・スパイダー(916型)

グリーンのバルケッタは、吸気マニフォールドへ亀裂が入りエンジンが不調に。部品が高価で、手放すことを決めたという。

「当時の選択は正しかったと思いますが、それ以来、個性的で可愛いバルケッタを懐かしんでいました。状態の良いホイールアーチとフロアパンを保った、走行距離の短いクルマが出てきて、即決で飛びついたんですよ」

1999年式だというブルーのバルケッタの走行距離は、僅か4万5000km。詳しい履歴は明らかではないが、学者が妻のために購入したクルマのようだ。

純正にはなかったフロアマットと、社外品のステレオ、ステンレス製マフラー以外、殆どオリジナル・コンディションが保たれている。スコットランドや欧州大陸への長距離ドライブが、今後の楽しみだと打ち明ける。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アーロン・マッケイ

    Aaron McKay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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