圧倒的なビッグクーペ メルセデス・ベンツCLクラス V12ツインターボも 英国版中古車ガイド
公開 : 2022.07.22 08:25 更新 : 2022.07.24 19:35
住みたいと思えるほど豪奢な内装
インテリアは、車内に住みたいと思えるほど豪奢。大人4名が、ゆったりくつろぐことができる。上級のCL 600には、エア圧で硬さを変えられるランバーサポート、マッサージ、ヒーターとベンチレーション内臓の電動スポーツシートが搭載されている。
インフォテインメントは、メルセデス・ベンツ独自のコマンドシステムを実装。ハーマン・カードン社のサラウンド・システムも、オプションで選択できた。
ダッシュボード中央のモニターは、運転席と助手席側で別々の情報を表示できる、スピリットビューもパッケージとして選択が可能だった。Sクラスのクーペとして、まったく不足はない。
メルセデス・ベンツCLクラスは、極めて豪華で重く、燃費は悪い。2022年に目指すべき精神には若干反する。しかし運転すれば、その豊満な印象に心が奪われるはず。
近年の中古車価格は、驚くほどお手頃。筆者も思わず1台を、と考えてしまう。
新車時代のAUTOCARの評価は
圧倒的な存在感に、シルキーな乗り心地。豪華絢爛なインテリア。Sクラスとして不足ないすべてが、このクーペに惜しみなく盛り込まれている。
CLクラスは、富の象徴として君臨している。4.7L V8エンジンが生み出すパワーも際立つ。しかも、これほど大きなボディからは想像できないほど、落ち着き払ってカーブを滑らかに抜けていく。
CL 63の信じられないような動力性能にも驚かされる。AMGの魅力に、惹き込まれないことの方が難しい。(2007年2月28日)
購入時に気をつけたいポイント
電気系統
この時期のSクラスと同じ不具合に悩まされがち。電気系統の修理には数千ポンド(数十万円)掛かることも珍しくない。ステレオ・アンプやエアーで調整するランバーサポート、キーレスエントリー・システムの故障などは想定内といえる。
バッテリー上がりは電気系統に大きなエラーを生む可能性があるため、長期間乗らない場合はトリクル充電器で電圧を保ちたい。バッテリーが劣化すると、ECUにエラーコードが残る。
エンジン
ウオーターポンプとオルターネーターは、駆動するベルトと同じタイミングで故障しがち。異音が出ていないか、聞き耳を立てたい。どちらもエンジンにダメージを与えることに繋がり、放置するほど修理費用も高く付く。
バランサーシャフトの、タイミングチェーン・スプロケットという部品の摩耗にも注意。
トランスミッション
ATフルードは、6万5000kmごとに交換しておきたい。試乗時は、滑らかに変速できるかどうか確認も忘れずに。
一部のオーナーは、シフトダウンできなかったり、リバースに入らないという不具合を報告している。専門店でソフトウエアの確認ができればベターだ。
サスペンション
パルセーション・ダンパーと呼ばれる、圧力調整ダンパーに不具合が起きることがある。交換後でも、硬い乗り心地が解消されない場合もあるという。正規ディーラーでシステム・リセットする必要がある。アクティブ・ボディ・コントロール用ポンプも弱点。
ボディ
内部の雨水経路がつまり、フロアへ流れ込むことがある。ECUも足元にあるため、水の侵入は電気的な不具合を招きがち。ドレイン・エアボックス内のラバー・グロメットが原因で、カーペットが湿ることも。ヒーターなどにも悪影響を与える。
ボディは意外に錆びる。サイドシルやホイールアーチをよく観察したい。可能なら専門家と一緒に、事前にしっかり確認した方が良いだろう。