パナソニック EV用バッテリーの性能向上目指す 2030年までにエネルギー密度20%高める新技術導入
公開 : 2022.07.14 06:05
パナソニックは、EV用バッテリーに新しい添加剤を使用し、エネルギー密度の20%向上を目指すと発表しました。実現すればEVの航続距離を伸ばすことに繋がります。
エネルギー密度20%向上 EV航続距離の改善に
パナソニックは、EV用バッテリーの新技術により航続距離を20%伸ばし、車内の広さと軽量化を実現できるとしている。
同社はバッテリーのエネルギー密度の向上に取り組んでおり、実現すればバッテリーのサイズを維持しながら航続距離の延長が可能となる。自動車メーカーとしては、航続距離を犠牲にすることなくバッテリーを小型化し、効率的なEV開発につながる。
パナソニック・エナジーの最高技術責任者(CTO)である渡邊庄一郎はロイター通信の取材で、新しい添加剤を使用することで、バッテリーの性能を損なわずに個々のセルを高電圧化させる計画であると語った。
この新技術を数年かけて段階的に導入し、2030年までにエネルギー密度を20%向上させる目標を掲げている。しかし、具体的な導入開始時期については明らかにしていない。
バッテリーのエネルギー密度を20%向上させると、テスラ・モデルYのロングレンジ仕様では、航続距離を530kmから630kmに伸ばすことができる。パナソニックは、長年テスラにバッテリー部品を供給している。
渡邊CTOは、「バッテリーメーカーの間では、より強力で効果的な添加剤の開発で競争になっている」と話す。また、バッテリー関連システムはEVの中で最も高価な部品であるため、性能を向上させ、コストを下げることができれば、より多くの投資を呼び込むことができるとも語っている。
新しい添加剤は、パナソニックが開発中の別の「新技術」とも組み合わせられる。この技術は、高電圧によるバッテリーの劣化を遅らせることができるという。電圧が高くなると、エネルギーを蓄える能力は高まるが、長期的には性能の低下を招く。2030年までの目標達成には重要な技術である。
シカゴ大学のシャーリー・メン教授はロイター通信に対し、「エネルギー密度を20%向上させることは十分に可能」だが、パナソニックが説明した改善点を実現できればの話だと述べている。