レトロな7人乗りミニバン 新型フォルクスワーゲン「ID.Buzz」 右ハンドルの英国価格発表

公開 : 2022.07.14 06:25

シンプルながらユニークな室内レイアウト 収納も充実

インテリアでは、マルチバンと同様の人間工学に基づいたドライビングポジションを、独自のスタイルで実現している。フロントシートはID.4より261mm高くセットされ、全方位の視認性を高めた。また、上級グレードの「プロ」にはアームレストを装備し、キャプテンチェアのような仕様となっている。

ハイマウントでミニマルなダッシュボードには、5.3インチのデジタルメーターディスプレイと10.0インチインフォテインメント・タッチスクリーン(オプションで12.0インチ)を搭載。他のIDモデルでは、メーターディスプレイの高い位置にロッカー式コントローラーが取り付けられているが、ID.Buzzではステアリングコラムに取り付けられたレバーで操作する。このレバーでは、D(ドライブ)やB(バッテリー)など走行モードも変更可能だ。

フォルクスワーゲンID.Buzz(写真は左ハンドル仕様)
フォルクスワーゲンID.Buzz(写真は左ハンドル仕様)

室内をより広く見せるために、2トーンカラーを含むさまざまなカラーリングを用意。アンビエントライトもオプションで追加できる。

収納スペースを重視し、ダッシュボード下部に2つの大型ドリンクホルダーが現れるコンパートメントや、フロントシートとドアトリムの間に「バズ・ボックス」と呼ばれる栓抜きとアイススクレーパーを備えたセンターコンソールを装備している。

フォルクスワーゲンはまた、最大8つのUSBポートと、オプションで携帯電話のワイヤレス充電器を設定する予定だ。

他のIDモデルと同様に、内蔵SIMカードによるOTA(無線)ソフトウェアアップデート機能を搭載し、ディーラーなどに立ち寄ることなく各種機能のアップデートができるようになっている。最上級グレードでは、V2X通信(他の車両やインフラなどとの接続)、ローカルハザードワーニング、自動車線変更機能を備えた「トラベルアシスト」など、30 種類以上の運転支援システムを搭載している。

リアシートは60:40分割で折りたためるが、取り外してラゲッジ容量を拡張することはできない。スタンダードホイールベースモデルのラゲッジ容量は1121Lで、リアシートを倒すと2205Lに拡大できる。荷室フロアは完全なフラットではないが、オプションでベッドフロアが用意されている。

商用車仕様のID.Cargoの荷室は、3900Lもの容量を誇る。最大積載長は2200mm、高さは1250mm、幅は1700mmとなっており、ユーロパレットを2枚並べることができる。キャビンと荷室はパーティション(オプションで窓付き)で仕切られる。また、固定用レールと最大6個のラッシングポイントを備え、荷物の安全性を確保する。

サイドに23個の窓を持つマイクロバス・サンバの再現は見送られたが、パノラミックガラスルーフがオプションで用意されている。

航続距離は400km以上 さらなる大型バッテリーも導入予定

初期モデルには、77kWhのバッテリーが標準装備されている。このバッテリーはフロア構造内に組み込まれており、フォルクスワーゲンは「背の高いバンとしては比較的低重心」と説明している。

後輪を駆動するのはリアアクスルアセンブリに搭載された同期電動モーターで、204psと31.5kg-mを発生する。出力はメルセデス・ベンツEQVと同じだが、トルクは5kg-m少ない。

フォルクスワーゲンID.Buzz(写真は左ハンドル仕様)
フォルクスワーゲンID.Buzz(写真は左ハンドル仕様)

フォルクスワーゲンは、まだ公式の性能数値を発表していない。参考までに、同様のパワートレインを持つID.4プロ(車重2109kg)の0-100km/h加速タイムは8.5秒と謳われている。最高速度は145km/h。

充電は家庭用電源で11kW、交流式で22kW、直流式で170kWまで対応。いわゆるプラグ&チャージ機能により、クレジットカード情報を充電器と通信することができる。また、双方向充電にも対応しており、ID.Buzzから家電製品に電力を供給したり、家庭用バッテリーの充電を行ったりすることが可能だ。

航続距離はWLTPサイクルで約415kmを達成するという。フォルクスワーゲンはAUTOCARに対し、52kWhの小型バッテリーも導入する計画であることを明らかにした。また、2023年に発売されるロングホイールベースモデルでは、大型の111kWhバッテリーを設定するという。

初期モデルのパワートレインは1種類のみだが、今後は最高出力170psと最大トルク31.5kg-mのシングルモーター/後輪駆動モデルも追加される。また、最高出力300ps、最大トルク46.8kg-mを発揮するデュアルモーター/四輪駆動の高性能モデル「ID.Buzz GTX」も登場する見込みだ。

サスペンションは、フロントにマクファーソンストラット、リアにマルチリンクを採用。DCC(ダイナミック・シャシー・コントロール)システムが搭載され、アダプティブ・ダンピング機能と最大3種類の走行モード(エコ、コンフォート、スポーツ)に対応している。

フロントに電気モーターを搭載しないことで、旋回直径は11mとマルチバンに比べて1m以上小さくなっている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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