ランボルギーニ初のEV 4人乗りのグランドツアラーとして2028年発売予定 ウルスEVも登場

公開 : 2022.07.14 19:05  更新 : 2022.07.14 20:48

ウルスEVも2030年までにデビュー 道筋は

ヴィンケルマンCEOが2030年までのウルスの電動化を認めた以上、兄弟車であるベントレーベンテイガもEVとなることは必然的だ。ベントレーは、2025年に同社初のEVを導入し、2030年までに5台のEVを発売する計画である。

ヴィンケルマンCEOによると、EVとして新型グランドツアラーとウルス後継を発売する戦略は、ファミリー層の顧客が電動化に前向きな姿勢を見せているためだという。

ウルスの後継となる電動SUVは、2030年までに発売される計画だ。(画像は予想レンダリング)
ウルスの後継となる電動SUVは、2030年までに発売される計画だ。(画像は予想レンダリング)    AUTOCAR

「今のところ、この種のクルマには電動化が適しています。わたし達は、現時点で最善であると判断できることを計画しなければなりません。加速力やハンドリングの挙動だけでなく、レスポンス、ブレーキフィーリング、複数の加速プロトコルなど、この種のEVがまだ十分に解決できていないと思われる分野があります。これらは高性能なEVでは実績がなく、今後何年もかけて解決していかなければならないことです」

ランボルギーニは昨年、「Direzione Cor Tauri(コル・タウリに向かって)」と名付けられた電動化計画を発表した。今回のインタビューで明らかになったことは、この計画を裏付けるものだ。

計画では、今後10年間での電動化に向けた3段階の戦略を打ち出している。

まず、アヴェンタドールの後継となるフラッグシップモデルが、ランボルギーニ初のPHEVとして今年後半に公開される見込みで、2023年に発売予定である。

続いて、2024年末までにウラカン、ウルスがPHEVとして販売され、全モデルをハイブリッド化する。これにより、2025年までにCO2排出量を現在の半分に抑え、さらに2台のEVで大幅な削減を図るというものだ。

「はっきりしているのは、お客様の意識が変化しているということです」とヴィンケルマンCEO。「お客様は法規制を意識しており、サステイナビリティと従来以上の性能を両立させれば興味を持たれます」

「ランボルギーニがハイブリッド化を進めているのはそのためです。ガソリン車好きの愛好家でさえ、当社のビジョンを受け入れると仰ってくれています。そうして、新しいタイプのお客様が完全電動化に目を向けることになるのです」

不況の中での事業拡大

以下、ヴィンケルマンCEOとのQ&A。

――電動化によって、ランボルギーニのモデルラインがさらに増える可能性はありますか?

「2つのモデルラインから(2018年のウルスで)3つに転換したことは、大きな一歩でした。資金と人材の面で、投資は莫大です。さらなる一歩を踏み出す前に、一つひとつのステップを成功させなければなりません。新型車は次のハードルです」

――世界経済は不況に向かっているようですが、今が拡大のタイミングなのでしょうか?

アウトモービリ・ランボルギーニのCEOを務めるステファン・ヴィンケルマン氏
アウトモービリ・ランボルギーニのCEOを務めるステファン・ヴィンケルマン氏

「今のところ、生産能力以上の受注があり、1年以上の納車待ちが発生しています。状況としてはまだ良いと言えるでしょう。しかし、金利の上昇、インフレ、原材料価格、エネルギー価格など、暗雲が立ち込めているのも事実です。これは世界的な問題で、何かしらの影響を受けるでしょう。しかし、わたし達の使命は、その課題に応えることです」

――販売が好調なウルスは、どの程度ランボルギーニを守ってくれるのでしょうか?

「間違いなく、安定感が増しますね。当時、ウルスの発売は本当に賭けのようなものだと感じていましたが、大きな成功を収め、4つ目のモデルラインに投資する余地を与えてくれました。もし、発売していなかったら、将来だけでなく、現在も大変なことになっていたでしょう」

――もう1つ別のSUVを作ったほうが、市場にもっと受け入れられやすいのでは?

「生産台数をあまり拡大したくないという点でも、価格をあまり下げたくないという点でも、わたし達ができることには限界があります」

――スペシャルモデルについては?

「たまに作ることはあっても、市場に負担をかけないように配慮しています。スペシャルモデルの市場はまだ活気がありますが、何が実現可能なのかを見極めなければなりません。ここで重要なのは、事前に機会を探り、アイデアに賛同してくれるお客様に事前に販売することです。もし、関心がなければ、リスクを取る必要はないのです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジム・ホルダー

    Jim Holder

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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