世界に1台だけのミニ・クーパー・コンバーチブルEV 電動化したワンオフ車両の目的とは

公開 : 2022.07.15 20:45

走りはどうなの?試乗してみた

ワンオフのプロトタイプとしては、この電動コンバーチブルは実に素晴らしい。見た目も乗り心地も、まるで本物の市販車のようだ。ドアの開閉音も良く、クルマ全体の動きが精緻で、本腰を入れて開発されたことがうかがえる。

ポルトガルのホテルから海まで往復する短い試乗だったが、電動パワートレインの利点と思われる2つのことが分かった。

ミニ・エレクトリック・コンバーチブル(プロトタイプ)
ミニ・エレクトリック・コンバーチブル(プロトタイプ)    ミニ

まず、非常に剛性が高く、一体感があることだ。石畳の上を走っても、ステアリングコラムの振動などは微塵もない。

これは、大型のバッテリーをフロア構造に固定した結果なのだろうか。ミニの社員は多くを語らなかったが、小さなミニが大きく成長したように感じられたのが非常に印象的だった。また、全体の剛性が高いので、タイトなカーブを正確に曲がることができ、とても満足のいくものだった。

2つ目の大きな収穫は、シームレスなパワートレインがオープンカーにいかにマッチしているかということだ。バッテリー駆動の面白い使い道の1つに、スポーツカーがあるはずだ。このクルマでワインディングや坂道を走ってみて、変速がなく、限りなく無限に近い推進力を感じさせる走りは、特に背の低いオープントップ車には効果的と言わざるを得ない。

このプロトタイプは既存のアーキテクチャをベースにしているので、新型は少なくとも同等以上の性能になるはずだ。4代目ミニEVコンバーチブルのスピードスター仕様のようなものがあってもいいのでは、と思ったほどだ。短い出会いではあったが、思いがけない逸品である。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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