米国人にはウケなかった欧州車 22選 悪いイメージと文化の違いで売れないクルマたち

公開 : 2022.07.24 18:05

クライスラー・クロスファイア

クライスラーとダイムラーが手を組んでいた頃に開発されたクロスファイア(Crossfire)は、2016年に生産中止となったメルセデス・ベンツSLKクラスの近縁モデル。同車と同じくドイツで製造されたが、非常にアメリカン・テイストに溢れるスタイリングを特徴としている。

米国での販売台数は、最初の数年間こそ1万5000台を維持していたが、その後急速に落ち込んだ。ライバルである日産350Zは、価格は同じだがパワーは格段に上であり、はるかに人気が高かった。ダイムラーとの統合の失敗と、その直後の2008年のリーマン・ショックにより、クライスラーはラインナップを整理せざるを得なくなった。

クライスラー・クロスファイア
クライスラー・クロスファイア

クライスラーTCバイ・マセラティ

1990年頃、イメージアップのためにマセラティと共同開発したコンバーチブル・グランドツアラー。イタリアで製造されたこのクルマは、数千台という低調な販売台数を記録した(最盛期でも年間3298台とされている)。これは、GMの最高級車として誰からも見向きもされないキャデラック・アランテに匹敵するものである。

その問題の1つは、基本価格が3万ドルを下回ることなく、消費者からは非常に高いと受け取られていたことである。クライスラーを率いていたボブ・ラッツは、クライスラーTCバイ・マセラティの開発・生産にかかった費用を6億ドル、現在の相場で約13億ドル(約1800億円)と見積もっている。

クライスラーTCバイ・マセラティ
クライスラーTCバイ・マセラティ

デロリアンDMC-12

主に米国で販売される予定だったデロリアンだが、問題(紛争。英国のいう「トラブル」)を抱えた北アイルランドに雇用をもたらそうと、英国政府の多額の資金を投入して同地で製造されることに。

クルマ自体は素晴らしいが、ルノー製の2.7L V6エンジンはパワーがなく、品質的にも問題があった。北アイルランドでの製造は、デロリアン社の倒産により、すぐに幕を閉じた。

デロリアンDMC-12
デロリアンDMC-12

米国で販売されたのは7000台未満で、そのうち1000台ほどは倒産後に販売されている。1985年に公開された”ある映画”のおかげで、現存車両はカルト的な人気を誇っている。

フィアット124スパイダー

124スパイダーはマツダロードスターの親戚で、広島県で一緒に製造されていた。パワーユニットはフィアット製のターボエンジンを搭載。米国では一般的に、クルマがディーラーに入荷してから顧客が見つかるまでの最適な期間は60日と考えられている。それ以下は供給不足、それ以上は需要不足となる。

2019年、フィアット124スパイダーは461日だった。米国人は概してこのクルマに興味がなく、1年間で4500台以上売れたことはない。欧州での販売台数はこれをはるかに上回り、7500台を超えることも2度あった。

フィアット124スパイダー
フィアット124スパイダー

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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