450psのRRに7速MT ポルシェ911 スポーツクラシックへ試乗 1250台の特別仕様 前編
公開 : 2022.07.23 07:25
ポルシェが911に設定した4種類のヘリテージデザイン。その第2弾、スポーツクラシックを英国編集部が評価しました。
全世界1250台の特別仕立てのポルシェ911
不穏な世界情勢のなかで、高価なポルシェ911をご紹介することは、自然な流れではないかもしれない。クラシカルに仕立てられた象徴的なスポーツカーには、21万4200ポンド(約3577万円)という英国価格が与えられている。
ポルシェ911の金額として、目を疑う読者もいるだろう。しかし、ブランドに心底惹かれているファンにとっては、充分納得できるお値段ともいえる。
フルカラーで仕上げられた、ホイールのセンターキャップに114ポンド(約2万円)を支払う人もいるほど。911 カレラGTSでも、気ままにオプションを追加していくと、簡単に16万ポンド(約2672万円)は超えてしまう。
ポルシェは、巧みに収益を稼ぐことが得意なブランドだ。2021年には、53億ユーロ(約7473億円)の売上高を記録し、営業利益は16%に及んでいる。
2022年に広がるサプライチェーン問題の環境下では、同じ数字を稼ぎ出すことは難しいかもしれない。それでも、定常的に15%を目標値に掲げている。
そんな今年のポルシェの目標達成に一役買うのが、911 スポーツクラシックでもある。ちなみに、この「スポーツクラシック」という特別仕様は、997世代の911にも250台限定で用意されていた。
今回、992型の911で提供される数は、全世界で1250台。投資目的で買われることを防ぐため、英国などへの割り当て台数は発表されていない。少なくとも、まだ完売状態ではないようだ。
1950年代や1960年代のレーサーを意識
もっと多い数を提供してもいいのでは、と考える読者もいらっしゃるだろう。997型のスポーツクラシックは高値で取引されており、992型の発表直後は値下がりしたようだが、すぐに復調したらしい。
今回のスポーツクラシックは、ポルシェが展開するヘリテージデザイン・プロジェクトの一環。第1弾となったヘリテージ・エディションではタルガ4Sをベースに、1950年代や1960年代のロードレーサーにインスパイアされた仕上げが施されていた。
新しい911 スポーツクラシックでは、1960年代や1970年代のモータースポーツ・シーンが意識されている。特に、1973年の2.7カレラRS、通称ナナサン・カレラに通じるダックテール・スポイラーは特徴的といえる。
ポルシェは、残る2台がどんな仕様になるのか、まだ発表していない。恐らく年代を徐々に辿っていくのではないだろか。
フックス社製のアルミホイールや塗装されたセンターストライプ、専用ドアハンドル、千鳥格子があしらわれた内装、ダブルバルブ・ルーフなどがクラシカルな雰囲気を醸し出している。タコメーターも、1950年代の550 A風だ。
ボンネットとルーフはカーボンファイバー製。試乗車のインテリアを覆うブラウンのレザーは、通常より上質なアニリン仕様。柔らかな手触りで違いを実感できる。
ホイールの内側で鈍く光る、カーボンセラミック・ブレーキディスクは標準装備。バネ下重量を20kg削っている。フロントとリアのバンパーにも、専用デザインが奢られる。