450psのRRに7速MT ポルシェ911 スポーツクラシックへ試乗 1250台の特別仕様 後編

公開 : 2022.07.23 08:26

番外編:ポルシェ911のダックテール

モータースポーツのポルシェと聞いて、1973年の2.7カレラRSから採用された、ダックテールをイメージする読者も多いだろう。この特徴的なリアスポイラーが生まれた経緯は、ご存知だろうか。

当時のエンジニアは、リアタイヤの接地性を高めたいと考えていた。本来なら水平にテールを伸ばし、後端で垂直に切り落とす造形の方が、空力的に有利ではある。

ポルシェ911 スポーツクラシック(欧州仕様)
ポルシェ911 スポーツクラシック(欧州仕様)

しかし、本来のスタイリングとリアエンジン・レイアウトという縛りがあったため、911ではそれが難しかった。なだらかに傾斜するテールエンドは、911のアイコンといえるものだ。

そこで、気流を分離する機能を担ったのが、持ち上げられたリアスポイラー。アヒルの尻尾に似ていることから、ダックテールと呼ばれるようになった。

当時のポルシェのテスト部門を率いていたピーター・フォーク氏は、「より高い位置へスポイラーを伸ばすことで、空気抵抗、ドラッグが減り、最高速度が増すことを発見したんです」。と説明する。

「そこで、再びドラッグが増えるポイントまで、リアスポイラーにシートメタルを挟んでミリ単位に高くしていきました」。その結果、このダックテールが生まれたのだ。

跳ね上がったお尻で、リアタイヤへ生じる揚力を抑えることを実現。さらにドラッグを殆ど変えずに、2.7Lの空冷エンジンを効果的に冷却することもできた。最高速度は、4.5km/h上昇したという。

ポルシェ911 スポーツクラシック(欧州仕様)のスペック

英国価格:21万4200ポンド(約3577万円)
全長:4535mm(911 ターボ)
全幅:1900mm(911 ターボ)
全高:1303mm(911 ターボ)
最高速度:315km/h
0-100km/h加速:4.1秒
燃費:7.9km/L
CO2排出量:285g/km
車両重量:1570kg
パワートレイン:水平対向6気筒3745ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:450ps/6750rpm
最大トルク:61.1kg-m/2000-6000rpm
ギアボックス:7速マニュアル

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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