エンジンはポルシェ356のフラット4 VWタイプ1がベースのスポーツカブリオレ 前編

公開 : 2022.08.07 07:05

コンポーネントの入手はスウェーデンから

全体的には、ポルシェ356ほどスポーティとは感じられないし、優雅には見えない。特徴的な処理も限定的で、エンジンリッドの上に載った後ろ向きのエアインテークが、控えめに個性を主張している。

一方でポルシェとは異なり、D&Sはタイプ1用コンポーネントの入手に苦労していた。ドイツ国外のディーラーが手っ取り早い手段だったようで、主にスウェーデンから調達していたという。

ダネンハウアー&シュタウス・スポーツカブリオレ(1951年/欧州仕様)
ダネンハウアー&シュタウス・スポーツカブリオレ(1951年/欧州仕様)

今回のスポーツカブリオレの場合、ベースとなっているのは1950年製のタイプ1。顧客がベース車両を手配したか、どこかのルートを通じて入手した証拠といえる。

しかし、それ以外の情報は殆ど不明だという。1980年まで、オーストリア・ウイーンで朽ち果てた状態にあった。

地元に住むルドルフ・エッテル氏は、初期のポルシェがあるという話を聞き、クルマを見にいった。その後、希少なD&Sスポーツカブリオレだと判明した。

エッテルは、クルマを買い取るとレストア。ボディをホワイトに塗り替え、38年間も大切に楽しんだ。1989年には、イタリアで開催される公道ラリー、タルガ・フローリオにも出場している。

2018年にドイツのカーディーラーへ売却されるが、すぐに現オーナーのマーク・レイノルズ氏の目に留まった。彼は空冷フォルクスワーゲンの部品サプライヤーを英国で営んでおり、不足ない知識を持っていたが、購入までには数か月の交渉が必要だった。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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