中国BYD、日本乗用車市場へ参入 ディーラー100か所整備 劉社長に訊く「対面販売」にこだわるワケ

公開 : 2022.07.21 20:14  更新 : 2022.07.21 22:34

中国EV最大手のBYDが日本乗用車市場へ3モデルを送りこみました。ディーラー網を整備し、対面販売にこだわるワケを取材。

中国「BYD」ってどんなメーカー?

1995年に広東省深セン市でバッテリーメーカーとして誕生したBYDは、現在、蓄電池や半導体、EVメーカーとして業界をリードする企業にまで成長した。

自動車事業は2003年にBYDの自動車部門「BYD汽車」を設立。

中国EV最大手BYDが日本の乗用車市場へ参入
中国EV最大手BYDが日本の乗用車市場へ参入

まだ20年にも満たない新しい会社ではあるが、世界で最も多くのBEV/PHEVを販売しており2021年は中国市場においてEVは前年比145%増の販売台数を達成。

プラグインハイブリッド車の合計で、世界トップクラスの年間販売台数約60万台を記録している。

さらに電気バスにおいても2022年現在、合計7万台のBYD製電気バスが70超の国と地域で走っており、今やあの有名なロンドンバスもBYD製の採用が進んでいる。

もちろん世界シェアナンバー1である。

そんなBYDがこのたび日本市場にてEV乗用車の販売をスタートすることが明らかになった。

もしかすると、BYDという名前を初めて聞いたことがある人もいるかもしれないが、BYDは2005年から日本で事業展開を開始。

意外と長い歴史を持っている。

2015年には電気バス「BYD K9」を5台、京都市内を走るバス「プリンセスライン」に納入した。

価格の安さはもちろん、高品質でしっかりとしたアフターサポートによってBYDの電気バスは全国の自治体やバス事業者に続々と採用が進んでおり、2022年5月現在、日本国内での納入台数は65台にまで増えた。

また、電気バス以外にもBYD e6というステーションワゴンが2022年より法人向けに発売開始となり、京都の都タクシーに代表される「タクシー車両」としての採用も進んでいる。

プラットフォーム 劇的な進化

電気バスでの実績を踏まえて、ついに2022年7月21日、かねてから日本での要望も高かった3種のEV乗用車、コンパクトSUV「アット3」(中国名:元PLUS)、プレミアムセダンの「SEAL」(同:海豹)、そしてコンパクトカー「ドルフィン」(同:海豚)が日本に導入されることが発表された。

いずれも本国での発売から1年未満の新しいモデルだが、このうち最も早く日本での販売を予定しているのが2023年1月発売予定のアット3である。

筆者が試乗したアット3
筆者が試乗したアット3

アット3は2022年2月に中国で発売され、今春からオーストラリアやシンガポールでの販売も開始。いずれも非常に好評なモデルとなっている。

日本に導入される3車種にはすべてBYDが新開発したEV専用「e-プラットフォーム3.0」を採用している。

この「e-プラットフォーム3.0」は駆動モーター、モーターコントローラー、トランスミッション、車両コントローラー、バッテリーマネジメントシステム、DCコンバーター、オンボードチャージャー、高電圧配電モジュールなどの8つのモジュールを1つに集約させたものだ。

安全性はもちろん、効率性や居住性、そしてスマート化を実現させた最新のプラットフォームとなっている。

筆者は本日、アット3に短時間だが同乗試乗した。

旧型プラットフォームを採用したタクシー車両のe6にも今春、同乗試乗する機会を得たが、乗り心地や静粛性がまるで違っていて本当に驚いた。

着座位置も低めで乗り降りもしやすい。

このような劇的な進化がわずか数年間で実現できることに驚嘆する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事