フォルクスワーゲン・シロッコR-ライン 2.0 TDI
公開 : 2014.07.19 22:10 更新 : 2017.05.29 18:58
■どんなクルマ?
シロッコRと瓜ふたつではあるが、悪しからず。こちらのモデルはシロッコ Rラインだ。
したがってエンジンも全くの別物、こちらに組み合わされるのはゴルフGTDに使用される184psの2.0ℓTDIユニットとなる。このエンジンはシロッコのディーゼル・ラインナップを代表し、油断すれば見落としかねないわずかなアップデートとともに、中期モデルの特徴のひとつとなる。
ヘッドライトとリアのLEDライト、その他には空力特性の向上が図られたバンパーが、このモデルと先代の識別点となっている。非常に地味で控えめなのは言うまでもない。
内装に目を向ければ、そこには1974年にデビューしたシロッコの面影が残る。たとえばセンター・コンソール上の予備メーター群などで、ここにはブースト計や油圧ゲージ、クロノメーターが収まり、赤色のデジタル・クロック・ディスプレイもどことなく70年代を彷彿させる。
“新しい” シロッコにはパワー・トレインの変更も施される。全てが出力と燃費向上、低エミッションを目的としている訳だけれど、ガソリン・エンジンは時代の主流に背くかたちで160psの1.4ℓから180psの2.0ℓへと置き換えられた。
装備の充実も図られ、イギリスはもちろんのこと、ヨーロッパの巨大市場や2番めによく売れる中国の市場の購入層を満足させることになるだろう。
■どんな感じ?
わずかにパワフルになっているとはいうものの、先代のシロッコとの相違点はほとんどない。0-100km/h加速だって7.5秒と何ら変化はないのだ。
3km/ℓ燃費が向上した結果、CO2排出量も19g/km低減された。したがって英国では税金の価格もぐんと低められることになる。インテリアのスイッチ類がブラッシュアップされたことも紹介しておきたい点のひとつだ。
シロッコの売上のうち75%がディーゼルとなることが予想される。またマニュアル・トランスミッションとDSGの販売比率は2:1となり、これはなにもドライビングを楽しむためではなく、英国での税金のシステムによるものである(簡単にいえば、安くなるのだ)。
184psを発揮するTDIエンジンは3500rpmまでは実に味気ないものの、中回転域ではまずまずの力強さを味わうことができる。
DSGトランスミッションはアクセル開度によって忙しなく変速を繰り返すが、一般道でのシロッコは概して速く、入力に対するレスポンスも鋭い。仮にミドル・レンジのパワーを味わい尽くしたければマニュアル・モードを使用されたい。そのうえディーゼルだからと言って軽んずる事なかれ、エグゾースト・ノートの演出にも抜かりはない。
興奮という言葉とは無縁ではあるものの、先代同様に乗り心地とハンドリングの完成度は高い。十分なグリップと、軽く正確なステアリング、19インチ・アロイ・ホイールとの相性はとても良かった。
■「買い」か?
問題となるのは、同じエンジンを持つゴルフGTDの存在である。ゴルフは、シロッコのでき得る全てをこなしてしまう上に、わずかに出力が高く燃費にも優れるのである。
そうなってくるとこちらのシロッコ。いよいよ流麗なクーペ・ボディこそが、選択する上での最重要アピール・ポイントになってくると言えるだろう。
(カイル・フォーチュン)
フォルクスワーゲン・シロッコR-ライン 2.0 TDI
価格 | £29,520(511万円) |
最高速度 | 229km/h |
0-100km/h加速 | 7.5秒 |
燃費 | 20.9km/ℓ |
CO2排出量 | 125g/km |
乾燥重量 | 1418kg |
エンジン | 直列4気筒1968ccターボ・ディーゼル |
最高出力 | 184ps/3500-4500rpm |
最大トルク | 38.7kg-m/1750-3250rpm |
ギアボックス | 6速デュアル・クラッチ |