アルピーヌA110 EV仕様初公開 オープントップ機構付きの実験的プロトタイプ

公開 : 2022.07.22 19:05

アルピーヌは、A110のEVプロトタイプ「E-ternite」を公開。ブランド初の走行可能なEVであり、初のドロップトップモデルでもあります。2025年デビュー予定の次期EVモデルへの架け橋になるとのこと。

次世代モデルに向けた実験的プロトタイプ

フランスのスポーツカーブランドであるアルピーヌは、A110をベースとしたEVプロトタイプ「A110 E-ternite」を公開した。

アルピーヌA110の誕生60周年を記念して発表されたこの車両は、ブランド初の実走行可能なEVであるだけでなく、初のドロップトップモデルでもある。剛性とデザインへの影響を最小限に抑えた、取り外し可能なルーフを備えている。

アルピーヌA110 E-ternite
アルピーヌA110 E-ternite    アルピーヌ

次世代のアルピーヌA110は、エンジン車ではなく完全EVとなる予定だ。ルノー由来のEVプラットフォームをベースにしたモデルラインを展開するが、アルピーヌの独自性を高度に維持していくという。

ブランドCEOのローラン・ロッシは、「我々はA110のDNAを守りたいと考えており、プラットフォームを共有していながら、他のモデルとはかなり異なるものになるだろう」と語っている。

今回公開されたA110 E-terniteは、2025年に登場するEVモデルとの関連性については明言されていないが、コンパクトで軽量、ダイナミックな性能とスピードという、ファンに定評あるフォーマットに対するアルピーヌのコミットメントと位置づけられている。

フラッグシップスポーツカーの電動化に向けた実験的なプロトタイプで、アルピーヌは「名誉ある過去と、野心的な未来との架け橋」と表現している。

特製デュアルクラッチに特製ルーフ

A110 E-terniteは、現行モデルと同じシャシーをベースに、ルノー・メガーヌEテック・エレクトリックのバッテリーを使用している。A110の特徴であるミドシップならではのハンドリングを再現するため、バッテリーを複数の特製ケースに収め、最適な重量配分で配置している(フロントに4個、リアに8個の構成)。

バッテリー重量は392kgだが、アルピーヌによると全体的な重量増加は258kgに抑えられ、車重は1378kgとなっているという。もし、次期A110 EVの車重がこの程度であれば、市販EVの中で最も軽い部類に入るかもしれない。軽さはハンドリングだけでなく、エネルギー消費効率にも有利に働く。アルピーヌは、1回の充電での航続距離を420kmと謳っている。

アルピーヌA110 E-ternite
アルピーヌA110 E-ternite    アルピーヌ

プロトタイプの性能は、ベースとなった内燃機関車に匹敵するものだ。リアに搭載された1基のモーターから最高出力242psと最大トルク30.5kg-mを発生し、0-100km/h加速4.5秒、最高速度249km/hを達成する。

求められる性能に見合うトランスミッションが「社内になかった」ため、サプライヤーであるゲトラグと協力して、標準のA110のDCTを電動パワートレインに適合させたという。これにより、「コンパクトで軽量でありながら、トルクの切れ目をなくすことができる」とのこと。

A110 E-terniteは、オープンルーフと専用のリアデッキを除けば、デザインは内外装とも標準モデルと同じ。キャビンには、タッチスクリーン、「最新鋭」のサウンドシステム、クライメート・コントロールがそのまま採用されている。

ルーフパネルは自社で設計・製造し、一部にリサイクルカーボンを使用することで、剛性と重量を最適化し、サステイナビリティを高めている。アルピーヌによると、亜麻はカーボンファイバーと同等の強度を持ち、音響特性にも優れているという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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