FF化した新型トヨタ・クラウン 2つのハイブリッドシステム搭載 新ハイブリッドの開発思想とは?

公開 : 2022.07.26 05:45

新型トヨタ・クラウンは2つのハイブリッドシステムを搭載。FF化にあわせて開発された新システムを解説します。

ハイブリッドが2タイプある?

あれ、ハイブリッド車が2タイプある! これは、まったくの新機能なのか?
 
トヨタが記者発表して以来、連日のようにメディアを賑わしている新型「クラウン」に対して、そんな感想を持っている人もいるだろう。

その実態について、ハイブリッドシステムの開発関係者から詳しく話を聞いた。

トヨタ・クラウン・クロスオーバー
トヨタ・クラウン・クロスオーバー    トヨタ

日本のみならず、世界があっと驚いたトヨタの新型「クラウン」だが、2年ほど前から中京地域を発信源として「セダンからSUVに大変身することが決まった」といううわさが絶えなかった。

蓋を開けてみると、セダンはなくならず、クロスオーバー、スポーツ、さらにエステートという4車系の存在が明らかになった。

クラウンの伝統を重んじながらも、次世代に向けた先進性をあわせ持つ、トヨタ独自の世界感を醸し出すエクステリアデザインだ。

まずはクロスオーバーが今秋に発売され、1年半の間にほかの3車系が随時登場することになる。

このクロスオーバーでは、記者会見の際に豊田章男社長が紹介したように、2.5L直列4気筒ハイブリッドと、2.4L直列4気筒ターボハイブリッドという2つのハイブリッド車が用意されている。

とくに気になるのは、今回初採用となったターボハイブリッド車である。

FF用新「ハイブリッド」搭載

2つのハイブリッドについて話を進める前に、それらパワートレインを積むプラットフォームについてあらためて見ておこう。

北米トヨタのメディア向けサイトでは、日本での新型クラウン発表と同時に、北米市場でのクラウン導入について大きく紹介している。

トヨタ・クラウン・クロスオーバー
トヨタ・クラウン・クロスオーバー    トヨタ

その中で、「GA-K」プラットフォームという表記がある。

つまり、新型クラウンはカムリなどと同じFF(前輪駆動車)である。

となれば当然、搭載するパワートレインの種類も、前代までのFR(後輪駆動車)とは変わってくる。

そこで考案されたのが、1モーター方式の新型ハイブリッドである。

2つあるハイブリッド車のうち、2.5Lハイブリッド(A25A-FXS)では、従来からのTHS(トヨタ・ハイブリッド・システム)を使う。

一方の、2.4Lターボ(T24A-FTS)に1モーター式ハイブリッドシステムを新たに開発したのだ。

トヨタはこれを、2.4Lターボデュアルブーストハイブリッドシステムと呼ぶ。

同パワーユニット開発担当者は、「世間的には、前輪にパラレルハイブリッドシステム、また後輪のe-アクスルで構築した電気四駆だ」と表現する。

では、それら前後のパワーユニットの技術的な詳細について、具体的な開発をおこなったトヨタグループの各企業関係者の説明を紹介しよう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事