アウディQ4 eトロン売れてるワケ 日本で立てる「積極的なEV戦略」

公開 : 2022.07.27 05:45

ロードショーで新規顧客獲得

EVモデルであるeトロンの国内登録台数でみると、2021年上半期は113台だったが、2022年上半期は246台と一気に2倍以上に拡大している。

モデルとしては、「eトロンGT」と「RS eトロンGT」が加わったことが直接的な理由だ。

アウディQ4 eトロン
アウディQ4 eトロン    アウディ

価格帯が高いモデルで想定している台数は限定的だが、競合他社からもさまざまなセグメントのEVが登場したことで、プレミアムカーのユーザーの間でEVに対する認知度とニーズが確実に上がっている。

こうした中、2022年2月から全国各地でQ4 eトロンに関するロードショーを開催した。

日本向けの右ハンドル車を導入する前に、欧州仕様の左ハンドル車を先行して披露したのだ。全国合計約8000人が来場した。

筆者は実際に、神奈川県横浜市内のアウディ販売店で開催されたロードショーを見たが、土曜日と日曜日に数回、1回あたり5~10組ほどのユーザーが招待された。

その内訳は、既存のアウディユーザーもいるが、他メーカーのEVやプラグインハイブリッド車をすでに所有していて、自宅に普通充電設備があるユーザーも少なくなかった。

その結果、Q4 eトロンの受注台数はすでに1000台を超えている。約半数は、アウディにとっての新規顧客である。

メディアなどを通じて2022年はEV普及元年と称されることが多いが、Q4 eトロンのロードショーは新規顧客獲得の成功事例となった。

EVシフトに向けた販売店改革

Q4 eトロンの受注好調の裏には、「eトロン・ディーラーヘルプデスク」が大きく貢献している。

これは、eトロンの販売店がeトロンの個別モデルに対する質問のみならず、EV購入補助金や充電方式などEV全般に関する件で、アウディジャパン側に直接問い合わせができる仕組みだ。

アウディeトロンGT(画像)の販売をはじめ、今後アウディはEV販売に注力するという。
アウディeトロンGT(画像)の販売をはじめ、今後アウディはEV販売に注力するという。

2022年3月25日から実施されているこうしたコールセンター対応に加えて、専用サイト「eトロンXサイト」を2022年4月に開設している。

さらに、eトロン資格認定制度を2022年第4四半期以降に開始する予定だ。

資格は大きく2段階あり、ベースにあるのがeトロン・セールスコンサルタントで、これは事前学習によって知識テストとロールプレイング試験をおこなう。

また、上位にeトロン・スペシャリストを設け、知識テスト、ロールプレイング試験に加えてインタビュー試験も実施する。

eトロン・スペシャリストは各店舗内でeトロンのコンサルタントの指導役も担う。資格は有効期限がある更新制度となる。

アウディは中長期事業戦略の中で、2026年以降に発売するモデルはすべてEVとすることを決定しており、日本市場でもEVシフトに向けた販売店対応を根本的に変える動きが出てきたといえる。

また、急速充電器の大出力化についても積極的に展開する。

2022年内に、アウディ販売店で、出力50kW機器を42基、90kWを8基、そしてドイツ本国で普及が進む150kWを52基まで拡大する計画だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

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