ライフスタイルに丁度いいコンパクト トヨタ・アイゴXでオフロードに挑戦 1.0L+5速MT

公開 : 2022.08.01 08:25  更新 : 2022.08.01 15:24

クロスオーバーへ一新された欧州のAセグ・ハッチ、トヨタ・アイゴX。英国編集部が舗装路を離れて、実力を確かめました。

ライフスタイルを表現する小さなSUV

2022年グッドウッド・フェスティバルのヒルクライム・ステージで、まったく新しいバッテリーEV(BEV)のマクマートリー・スピアリングが、コースレコードを塗り替えた。多くの強敵を超える速さを見せつけた。

シリアスにスピードを追い求めてデザインされ、スピアリングには一切の無駄がない。全長は3.2mで、全幅は1.5m。軽自動車とサイズは殆ど変わらない。オリジナルのミニより、僅かに大きいくらい。

トヨタ・アイゴX 1.0VVTi リミテッド・エディション(英国仕様)
トヨタ・アイゴX 1.0VVTi リミテッド・エディション(英国仕様)

ボディに2基のファンを搭載し、路面の砂を後方へ撒き散らしながら、ダウンフォースを効かせて走る。リアルなバットマン・カーといえるようなマシンだ。

それでは、新しいアイゴXはどうだろう。Aセグメントという小さなハッチバック市場でも、トヨタは成功を残せるだろうか。先代までは、シトロエンプジョーとの共同開発モデルだったが、今回は単独で仕上げられている。

近年は、コンパクトカーから利益を生み出すことが難しい。CO2の排出規制や、NCAPによる安全規制の強化に伴い、求められる水準は高くなっている。無駄は削る必要がる。

初代アイゴから数えて3世代目になるアイゴXだが、先代から価格は上昇した。英国では、一番ベーシックなグレードで1万4805ポンド(約247万円)から。試乗したリミテッド・エディションは、1万9650ポンド(約328万円)に達してしまう。

もはや、お手軽なシティカーとは呼びにくい。そのかわり、スタイリングはSUV風に仕立てられている。トヨタは、市街地で最もホットなクロスオーバーだと表現する。筆者の印象をまとめるなら、ライフスタイルを表現する小さなSUV、といったところ。

バランスが良い好印象なスタイリング

アイゴXの全長は3700mm、全幅は1740mmと小さいためか、アウトドア・ライフを広げるようなイメージをトヨタはWEBサイトで使用していない。ソファーの広告で、身長の高いモデルを登用しないのと同じこと。余裕を感じてもらえなくなる。

先代から245mm長くなったアイゴXだが、まだ充分にコンパクト。だからこそ、AUTOCARではアウトドアに挑んでみることにした。小さなスピアリングのように、想像以上の実力を見せてくれることを期待して。

トヨタ・アイゴX 1.0VVTi リミテッド・エディション(英国仕様)
トヨタ・アイゴX 1.0VVTi リミテッド・エディション(英国仕様)

ランドローバーディフェンダー 130の半部程度しかないサイズのクルマで、どれだけアクティブに楽しめるだろうか。車重は、ガソリンを満タンにしても940kg。ディフェンダー 130は、約2.5tもある。

プラスティック製のフェンダーアーチやアンダーガードを追加して、車高を持ち上げて、一般的なシティカーを無骨な雰囲気に仕立てる手法は筆者の好みではない。しかし、アイゴXの場合は最初から意図されている。

ボディの四隅に大きなタイヤが配置された、彫刻的なスタイリングが好印象。フロント下がりのスタンスは、バランスが良い。

サイズが小さいから、175/60サイズの18インチ・タイヤが大きく見える。大きなSUVが履く、22インチより迫力がある。フェンダーアーチの埋まり具合も良い感じだ。

ただし、アイゴXのスペック表にはオフロードの走破性に関する記述はない。フロントのアプローチアングルも、リアのデパーチャーアングルもわからない。水の中を進める、渡河水深の数字も。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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