小変更でショールーム・アピール向上 キア Xシード PHEVへ試乗 後期も人気維持予想

公開 : 2022.08.06 08:25

トヨタC-HRクラスのクロスオーバー、キア Xシード。モデル中期の改良を受けたPHEV版を英国編集部が評価しました。

欧州では3年間に12万台を販売

キアのコンパクト・クロスオーバー、X(クロス)シードは好調だ。デビューは2019年で、これまでに12万台が欧州ユーザーのもとへ渡っている。英国では、キアの販売の10%をXシードが占めているという。

通常のハッチバック版、シードと同等数が売れてもいる。ルノーメガーヌフォード・フォーカスなども含む、従来的なファミリー・ハッチバックのお株を奪う勢いで、クロスオーバー人気は高まる一方のようだ。

キア Xシード PHEV 4(欧州仕様)
キア Xシード PHEV 4(欧州仕様)

そんなXシードは発売から3年目を迎え、モデル中期のマイナーチェンジが施された。今後の戦いも、安全に進めるために。基本的には見た目のリフレッシュが中心で、ショールームでのアピール力を高めることへ力が注がれている。

英国に導入されるパワートレインは、160psを発揮する1.5Lのガソリンターボと、1.6Lガソリンに駆動用モーターが組み合された、141psのプラグイン・ハイブリッド(PHEV)という2種類。今回試乗したのは、主にPHEVの方だ。

マイナーチェンジでは、ヘッドライトがLEDとなり、フロントグリルやバンパーまわりのデザインが一新された。これには、フロントタイヤへの気流を整えるエアカーテンも内蔵されている。

リアバンパーも新しくなり、ディフューザー風のデザインが与えられた。キアは両サイドの造形をエグゾースト風と表現するが、必要なのだろうか。

快適性重視の柔らかいスプリング

インテリアの変更は小さい。ダッシュボード中央にはインフォテインメント用のタッチモニターが据えられ、内装は期待以上に上級感がある。トリムグレードには、GTラインが追加された。

ホイールベースは2650mmと短めで、リアシート側のゆとりは限定的。だが、オーバーハングが伸ばされ、荷室容量は31Lプラスの426Lへ大きくなっている。多くのハッチバックなどと比べても、実用性では勝るといえる。

キア Xシード PHEV 4(欧州仕様)
キア Xシード PHEV 4(欧州仕様)

シャシー側にも大きな変更はないが、サスペンション・スプリングはフロントで7%、リアで4%柔らかくなった。快適性重視のキアの姿勢を表している。衝撃を吸収する油圧バンプストップが、フロント側に採用されたという。

運転してみると、マイナーチェンジの僅かな違いを感じる。従来より洗練された印象で、渋滞時も運転しやすい。

PHEV版ではEVモードを選択すると、駆動用モーターだけでほぼ無音の走りに浸れる。最長48kmまで対応し、日常的なチョイ乗り程度なら充分にまかなえる。

ガソリンエンジンへのバトンタッチも滑らか。高負荷時には張り詰めたサウンドが聞こえてくるが、フルスロットル時でもさほど走りに活発さはない。一方で、6速デュアルクラッチATは滑らかに変速し、一般的な速度域でのマナーは良好といえる。

若干柔らかくなったサスペンションのおかげで、乗り心地はゆったりしている。低速域では、細かな入力が連続するような場面で、若干落ち着きに欠けるようではあった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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