クルマの欠陥デザイン 自動車史に残る?設計ミス 23選 失敗から学ぼう
公開 : 2022.07.30 06:05
クライスラーPTカブリオ:後席の乗降性
PTクルーザーのコンバーチブル仕様であるカブリオ。個性的なデザインが目を引くクルマだが、前席のシートベルトの位置が、後席へのアクセスを妨げている。
後席に乗り込もうとすると、ベルトを押し下げて乗り越えるか、ベルトを引き上げて下にもぐりこむしかない。また、ルーフをたたんだ状態でなければ、ボディサイドに片手をかけて乗り込むことはできない。
シトロエンC3プルリエル:ルーフレール
プルリエルとは、フランス語で「複数」を意味する言葉だ。シトロエンは、このC3の派生モデルがさまざまなボディスタイルを持っていることを強調するために、この言葉を使った。そのボディスタイルの1つがコンバーチブルである。フロントガラス上部からトランクリッドの上まで伸びているルーフレールを取り外すことで実現できる。
しかし、ルーフレールを車内に持ち込むスペースはなく、家に置いておくしか方法がない。その日一日、天気が良ければいいのだが、そうでなければ、車内がびしょびしょになってしまう。しかも、このクルマが発売された2003年は、天気予報の信頼性が今よりずっと低かったし、スマートフォンもない時代だった。
シトロエンXM:パーキングブレーキ
当時シトロエンで最大のモデルだったXMは、足踏み式パーキングブレーキを採用している。ブレーキ自体はよく効いたが、マニュアル・トランスミッションの場合、坂道発進の際に問題となった。左足でパーキングブレーキとクラッチペダルの両方を操作しなければならないのだが、当然ながらそんなことできるわけがない。
後続車にぶつからないようにするためには、左足でクラッチを操作し、右足でアクセルとブレーキを同時に踏まなければならない。はっきり言って、これは簡単なことではない。
フィアット500ツインエア:エンジン振動
フィアットの小さな875cc 2気筒エンジン「ツインエア」は、ただでさえラブリーな500に、さらにラブリーを加えている。しかし、気筒数の多いエンジンに比べてストロークの間隔が広く、振動が大きいという欠点があった。
発売から数年後、フィアットはデュアルマスフライホイールを装着し、振動をほとんど吸収することでこの問題を大幅に改善した。500だけでなく、ツインエアを搭載した他のモデル(アルファ・ロメオを含む)でも同様の対応が行われている。
フィアット・ムルティプラ:クランプルゾーンの欠如
ここでいうムルティプラとは、1955年から1969年にかけて生産された600をベースとする初代ムルティプラのことである。600は小さなクルマだったが、これを6人乗りとするために、シートを1列追加した。
パッケージングとしては非常に素晴らしい設計だ。しかし、ドライバーと助手席の前方には、正面衝突の際に守ってくれるものはほとんど何もない。通常、ボディ前部には衝撃を吸収するクランプルゾーンが設けられているものだ。もし自動車安全テストのユーロNCAPが当時あったなら、この点について厳しい指摘を受けたことだろう。