2年後、ミニはこうなる 次期EVコンセプト「エースマン」初公開 デザイン大幅進化

公開 : 2022.07.27 19:25

シンプルで広々としたインテリア

エースマンのエクステリアは、従来のミニの基準から大きく逸脱しているが、インテリアもこれまでとはまったく異なるものとなっている。アレック・イシゴニス卿がデザインしたオリジナルモデルに、より哲学的に調和しているとハイルマーは説明する。

ダッシュボードは、円形の有機ELタッチスクリーンと、その下にある小さなトグルバーのみのミニマムなレイアウトが採用された。ハイルマーは、「ほとんど(市販仕様の)インテリアです」と語る。

ミニ・エースマン・コンセプト
ミニ・エースマン・コンセプト    ミニ

「ユーザーインターフェイスは、(2023年の)3ドアと同じです。コントローラーはなく、ディスプレイはよりすっきりしています。ポップアップに対応したタッチスクリーンで、車内温度を変えるにはスワイプ操作を行います」

トグルバーには、オリジナルのミニと同じように5つのスイッチがある。1つはトランスミッションシフター、1つはドライブモードの切り替え、もう1つはパーキングブレーキといった具合だ。

エースマンはEV専用プラットフォームを採用しているため、車内は現行の5ドア・ハッチやクラブマンに比べてはるかに開放的で広々としている。特にダッシュボードのボリュームは大幅に削られ、ステアリングホイールも小径化している。

「ボンネットの下に従来のエンジンがないため、HVAC(暖房換気装置)を前部に押し出すことができ、特にフロントのキャビンスペースが広くなっています」とハイルマー。ダッシュボードはニット生地で覆われているが、これが最終的な市販モデルに採用されるかどうかはまだわからない。

インテリアに使用される素材はサステナビリティを重視したものとなっており、レザーの質感は現在のクルマに使われている本革とほとんど見分けがつかないほどだという。ハイルマーは、「レザーレット(人造皮革)は未来の素材です。品質が良く、お客様にも見分けがつかないでしょう」と語っている。

インテリアのボリュームを減らし、断捨離を行うことで、ドアポケットの使い勝手が良くなり、フロントシートの間もほぼブランクになった。センターコンソールの収納をなくし、アームレストはシートサイドに設置されている。

「バッグを置きたい、という要望が多かったので、フロントシートの間に置けるようにしました。また、アームレストがシートサイドにあることで、お客様にとってよりフレキシブルな使用が可能になりました」

一方、「クロームは(エコロジー的に)良くない」とし、内外装から徹底的に排除された。初代から現行モデルに至るまで、ミニの外観に大きな役割を果たしてきたクロームパーツの廃止は、おそらく次世代モデルに対する人々の見方に最も大きな影響を与えるだろう。

ハイルマンもそのことを認めている。「エースマンは、レトロでもキュートでもありませんし、デザイン的に大きく変わりました。ですが、このクルマはミニのルーツを守っているとも思います」

新鮮で大胆なコンセプトデザイン

英AUTOCAR編集部はミニのデザイン責任者、オリバー・ハイルマーにインタビューを行った。

――エースマン・コンセプトは、BMWが過去21年間定義してきたミニのブランドとはかなり異なるものだと思いますが、いかがでしょう?

「デザインの目標は、このコンセプトにエッジを効かせることであり、あまりかわいらしくしようとすることではありませんでした。一定の枠の中で、新鮮で大胆なものが求められたのです」

――エースマンが見せる、これからのミニ・ファミリーとは?

ユニオンジャックのモチーフは、今後も引き継がれていくようだ。
ニオンジャックのモチーフは、今後も引き継がれていくようだ。    ミニ

「ミニ・ファミリーの各メンバーは、それぞれ独自のキャラクターを持つことになるでしょう。ハッチバックは新しい(デザインの)ステップを踏み、カントリーマンは第3世代にリメイクされます。ミニというブランドの(デザインの)帯域を広げたいと思いました」

「このEVにはグリルがなく、目立つドアハンドルなど、伝統的なディテールもありません。(将来のミニ・ファミリーには)新しいアイコン的な要素が加わり、既存のデザイン要素は異なる扱いを受けることになるでしょう。クラシックなミニの外観を超えて広げていきたいのです」

――ミニの伝統でもあるカスタマイズについてはどうでしょうか?

「将来のミニ・ファミリーでは、カスタマイズやスペックの複雑さは減り、ヘッドランプや運転支援システム、車載機能の追加、アクセサリーなど、さまざまなキュレーションやトリムパッケージに重点が置かれるようになります」

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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