米GM、欧州市場へ復帰 EVモデルのみ発売か 2017年以来の本格参入
公開 : 2022.07.28 18:05
ゼネラルモーターズは欧州市場への復帰を目指しており、キャデラックやシボレーなどの新型EVを投入すると見られます。ハマーEV限定販売の可能性も。
欧州市場へEV本格導入
ゼネラルモーターズは、欧州市場における事業を本格的に再開する動きを見せている。新型電動SUVのキャデラック・リリックを筆頭に、EV(電気自動車)を中心とするラインナップを展開する見込みだ。
ゼネラルモーターズは、2017年にオペルとヴォグゾールをPSAグループに売却した後、キャデラックとシボレー・コルベットの限定的な輸入事業だけを残し、欧州市場から実質的に撤退した。しかし、昨年、新たに欧州部門を設立し、再参入の準備を進めている。その計画の詳細は、来年早々に発表される見通しだ。
欧州部門責任者であるマフムード・サマラは、売上目標や予想販売台数については言及しなかったが、同市場において「相当なプレーヤーになると確信している」と述べた。
ゼネラルモーターズは、2035年までに全世界でEVラインナップを展開する目標を掲げており、リリックやGMCハマーEVなどのベースとなるEV専用プラットフォーム「アルティウム」の開発に多額の投資を行ってきた。
サマラは、欧州では米国に比べてEVの普及が早いことが、復帰を決断した重要な要因であるとして、次のように述べている。
「欧州のお客様が必要としているもの、そして当社が変革のために行ってきたことを考えると、これは当社にとってまたとない機会だと感じています」
これまでの欧州事業としては、欧州独自のブランドを導入していたが、今回は既存の米国ブランドを活用することにしている。具体的な内容は明かされなかったが、キャデラックはアウディeトロンのライバルとなる新型リリックを率いて参入すると見られる。また、新型ハマーEVが限定的に販売される可能性もある。
「シボレー、キャデラック、ハマーはグローバルブランドであり、当社は目的に合ったブランドを有しているのです。EVへの移行の素晴らしい点は、そのプラットフォームで実現できる柔軟性にあります。欧州での需要に適うものになるでしょう」とサマラ。
注目すべきは、キャデラックが2023年にル・マン24時間レースに出場し、モータースポーツへの復帰を果たすことであろう。世界的な知名度の向上にもつながるはずだ。
サマラによると、ゼネラルモーターズの欧州部門は迅速な立ち上げを目指しており、欧州には固定的なICE車部門がないため、より容易にEVを推進できるという。
テスラ、ポールスター、ジェネシスなどと同様に、オンラインのみのシンプルな小売モデルを採用し、ディーラーネットワークに多額の投資をすることなく収益を上げると予想される。
また、欧州事業は自動車販売にとどまらず、新たな商用車部門「ブライトドロップ(Brightdrop)」によるラストマイル配送(物流拠点から顧客までの配送)を展開する予定だ。