ホンダの切り札 VTECのタイプR シビック/インテグラ/アコード 3台を振り返る 前編
公開 : 2022.08.21 07:05
5700rpmを超えると状況は一変する
CH1型の核心となるのが、H22A7という型式を持つ2.2L 16バルブ直列4気筒エンジンだ。2ステージの可変バルブタイミング機構、VTECを採用し、欧州仕様では7200rpmで212psの最高出力を発生する。21.8kg-mの最大トルクも6700rpmと、回転域は高い。
ガソリンは満タン。写真撮影に適した場所へ、きれいなアコード・タイプRを進めることにする。ボディを傷つけることなく、エンジンを回しきりVTECの動作を確かめ、ホンダとドライバーとの一体感を味わう時間だ。
すぐに8000rpmを求めたくなるところだが、筆者は単なる動物ではない。エンジンをウォームアップさせるべく、優しく発進する。普通ならもどかしい数kmになるところだが、CH1型は好印象な質感を伴ってクルージングを始めた。
乗り心地には落ち着きがあり快適。エグゾーストノートも静か。肩透かしに思えるほど、普通のサルーンだ。
しかし、バックミラー越しに赤いウイングが光り、目前にはホワイトの3枚のメーターが並んでいる。ドライバーへ無言で何かを訴えるように。全体が温まったところで、右足に力を込める。
4気筒としては大きめの、2.2L VTECエンジンがアコードを猛然と加速させる。ノイズは低く、こもっている。瞬く間にレブカウンターの針が5700rpmを超えると、そこから状況は一変する。
加速力が1段高まり、エンジンルームから吸気音が響き始める。滑らかにうなり、日本製の量産ユニットにあるような、ぎこちなさは微塵もない。コスワース社が手掛けたBDAユニットのようでもあり、欧州車的といっていい。
この続きは中編にて。