ホンダの切り札 VTECのタイプR シビック/インテグラ/アコード 3台を振り返る 前編

公開 : 2022.08.21 07:05

5700rpmを超えると状況は一変する

CH1型の核心となるのが、H22A7という型式を持つ2.2L 16バルブ直列4気筒エンジンだ。2ステージの可変バルブタイミング機構、VTECを採用し、欧州仕様では7200rpmで212psの最高出力を発生する。21.8kg-mの最大トルクも6700rpmと、回転域は高い。

ガソリンは満タン。写真撮影に適した場所へ、きれいなアコード・タイプRを進めることにする。ボディを傷つけることなく、エンジンを回しきりVTECの動作を確かめ、ホンダとドライバーとの一体感を味わう時間だ。

ホンダ・アコード・タイプR(CH1/1998〜2002年/英国仕様)
ホンダ・アコード・タイプR(CH1/1998〜2002年/英国仕様)

すぐに8000rpmを求めたくなるところだが、筆者は単なる動物ではない。エンジンをウォームアップさせるべく、優しく発進する。普通ならもどかしい数kmになるところだが、CH1型は好印象な質感を伴ってクルージングを始めた。

乗り心地には落ち着きがあり快適。エグゾーストノートも静か。肩透かしに思えるほど、普通のサルーンだ。

しかし、バックミラー越しに赤いウイングが光り、目前にはホワイトの3枚のメーターが並んでいる。ドライバーへ無言で何かを訴えるように。全体が温まったところで、右足に力を込める。

4気筒としては大きめの、2.2L VTECエンジンがアコードを猛然と加速させる。ノイズは低く、こもっている。瞬く間にレブカウンターの針が5700rpmを超えると、そこから状況は一変する。

加速力が1段高まり、エンジンルームから吸気音が響き始める。滑らかにうなり、日本製の量産ユニットにあるような、ぎこちなさは微塵もない。コスワース社が手掛けたBDAユニットのようでもあり、欧州車的といっていい。

この続きは中編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・ボーモント

    Will Beaumont

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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