空冷ポルシェ復活 993型911 大幅に軽量化されたレストモッド車両公開

公開 : 2022.08.03 18:25

ポルシェ993型911をべースとしたレストモッド車両「オートアート993 R」が登場。オリジナルのサンルーフや電子機器などを取り除き、徹底的な軽量化が施されています。

空冷ポルシェを軽量化・出力向上

ポルシェのレストモッドを専門とする英国のポール・ステファンス社は、993型911に大幅な軽量化とパワーアップを施した現代的なモデルを発表した。

「オートアート993 R(Autoart 993 R)」と名付けられたこのモデルは、1994年から1998年にかけて生産された空冷カレラ2のボディを改造し、オリジナルの993 RSキット、最新のポルシェGT由来のコンポーネント、特注の軽量パーツを組み合わせている。

ポール・ステファンス・オートアート993 R
ポール・ステファンス・オートアート993 R    ポール・ステファンス

これにより、「空冷ポルシェの生の感触と魅力」を持ちながら、現代的な機能と軽量技術を融合し、オリジナルモデルよりも強化されたパフォーマンス、スタイリング、ドライビング・エクスペリエンスを、快適性とともに実現するとしている。

顧客からの要望で生まれたこのモデルは、現在「生産可能」であるという。

車両重量は1220kgと、993型911が最初にリリースされたときよりも150kg軽い。これは、サンルーフの廃止、スチール製ボンネットをポルシェ・モータースポーツ製アルミニウムへ交換、特注のフロント&リアバンパー、サイド&リアウィンドウのレース用軽量ガラス装着など、徹底した軽量化によるものだ。

パワートレインは、993 RSのエンジンをベースにした最高出力365psのフラット6が搭載されるが、排気量は3.6Lから3.8Lに拡大されている。また、価格を抑えた335psのエンジンも用意されている。

どちらのエンジンも、997型911 GT3のクランクシャフトやRSRのピストンなど、ポルシェ・モータースポーツのパーツで強化されている。後輪駆動で、ブレーキは993 RSのものが使用される。

エンスージアストにしかわからないディテールも

インテリアでは、不要な電子機器をすべて外して軽量化し、カーボンファイバー製レカロシートやロールケージなどを採用してエンゲージメントの向上を図った。

また、Wavetrac製リミテッド・スリップ・ディファレンシャル、5ウェイ調整機構付きサスペンション、パフォーマンス・エグゾーストシステムが装着されている。

ポール・ステファンス・オートアート993 R
ポール・ステファンス・オートアート993 R    ポール・ステファンス

同社のオーナー、ポール・スティーブンス氏は次のように語っている。

「993 Rは、エンジン、サスペンション、軽量パネル、特注のインテリアなど、当社が長年培ってきた空冷の経験を限界まで引き出したものです」

「993 Rは『スワンソング』ではありませんが、お客様の要求を満たす、あるいはそれ以上の『ベスト』なものを作りたいと考えていました」

「これまでコンバートしたどのポルシェ911よりも、当社の『引き算の美学』を表現しています。繊細なディテールを多く盛り込み、ぱっと見では気づかれないかもしれませんが、当社のビジョンを理解してくださる熱心な911愛好家には喜ばれると期待しています」

このモデルは受注生産で、価格はオーダーの内容にもよるが、ほぼミントコンディションのオリジナル993型が10万ポンド(約1600万円)以上で販売されていることから、非常に高価になることが予想される。生産台数の制限は設けられていない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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