みんなの憧れ ガルウィングドアを採用したクルマ 17選 名車から謎車まで

公開 : 2022.08.07 06:05

アストン マーティン・ブルドッグ – 1979年

アストン マーティン・ブルドックは、従来の曲線的なクーペとは一線を画す存在である。ウェッジシェイプの巨匠、ウィリアム・タウンズがデザインしたブルドッグは、半ば必然的にガルウィングドアを採用。乗降性を確保するためには、通常のドアでは長すぎるため、この方式が使われたのである。

ガルウィングドアによって設計上の制限から解放され、ブルドッグのトレードマークであるサイドウインドウの角度が強調された。コックピットの後ろには、最高出力700psの5.3L V8ツインターボエンジンを搭載。本来なら、アストンをスーパーカー界のトップに押し上げるはずだったが、残念ながらたった1台しか作られなかった。

アストン マーティン・ブルドッグ - 1979年
アストン マーティン・ブルドッグ – 1979年

デロリアンDMC-12 – 1981年

鳴り物入りでデビューしたデロリアンDMC-12。注目の理由は、無塗装のステンレススチール製ボディと、驚くべきガルウィングドアにある。1万2000ドルという比較的手頃な価格で、スーパーカーのような外観を実現したのだ。

ドアは経年劣化で垂れ下がり、部品の交換が必要になるが、ドアが劣化するより早く会社自体が斃れてしまった。

デロリアンDMC-12 - 1981年
デロリアンDMC-12 – 1981年

搭載された2.8L V6エンジンの出力は130ps程度とマイルドで、見た目の割に性能が低かった。ハンドリングも、ロータスが最善を尽くしたにも関わらず、見かけ倒しなものである。さらに、社長が麻薬取引で訴えられたことと不況が重なり、世界でわずか1万台しか売れず、すべてが失敗に終わった。

オートザムAZ-1 – 1992年

日本の軽自動車は、厳しいサイズ制限の中、競争の激しい市場において少しでも目立たせるために、デザインに手を抜くことはできない。トヨタMR2フォードRS200、フェラーリF40を思わせる小さなクーペ、オートザムAZ-1のガルウィングドアはそのためのものである。

マツダスズキの混血で、657ccの3気筒ターボエンジンを搭載したAZ-1の最大と特徴は、何と言ってもこのドアだろう。スズキも独自にキャラというモデルを販売しており、AZ-1と並んで未だにカルト的な人気を誇っている。中古車でも200万円前後が相場となっているようだ。

オートザムAZ-1 - 1992年
オートザムAZ-1 – 1992年

イズデラ・コメンダトーレ – 1993年

ドアに限らず、トランクリッドもガルウィングにすればいいではないか。この、デ・トマソ・マングスタ(先述)を発展させたような提案がイズデラ・コメンダトーレ112iの特徴を生んだ。大型で厚みのあるガルウィングドアは乗降のためだが、リアデッキにもセンターラインにヒンジが設けられており、ドアと同じように翼を広げるのである。

これにより、AMGチューンの6.0L V12エンジンにスパナをかけるためのスペースが十分に確保されている。エーベルハルト・シュルツ率いるチームが手がけたコメンダトーレは、メルセデスの協力を得て設計・製造された。

イズデラ・コメンダトーレ - 1993年
イズデラ・コメンダトーレ – 1993年

両者に直接的な関連性はないが、エンジンやリフトアップドアなど、メルセデスのCLK GTRとコメンダトーレの間には類似点がある。しかし、イズデラの方は2台しか製造されなかった希少車である。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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