ブランド新時代を切り拓く キャデラック・リリックへ試乗 欧州の競合に伍するBEV 後編

公開 : 2022.08.12 08:26

欧州のプレミアム・ブランドに代わる選択肢

短時間のテストコース試乗ということで試せなかったが、リリックは半自律運転システムも搭載する。GMがスーパークルーズと呼ぶハンズフリーを許すもので、アメリカの特定の道路上でのみ、アダプティブ・クルーズコントロールと連動して機能する。

ステアリングホイールのリム上部にはLEDライトが内蔵され、システム・オンで点灯。ドライバーの介入が必要になると、赤く点滅して教えてくれる。

キャデラック・リリック RWD(北米仕様)
キャデラック・リリック RWD(北米仕様)

デトロイトの高速道路で、シボレーのBEVサルーン、ボルトに搭載されたリリックと同じシステムを体験させてもらうことができた。時間は限定的だったが、不安を感じることなく運転してみせた。

現在のところ、キャデラック・リリックが英国や日本の市場へ導入されるのかは不透明。2023年前半に欧州での販売計画が発表される予定で、前情報によれば英国への上陸は充分にありえるという。

英国価格や発売時期も、計画発表まではわからない。北米価格は6万2990ドル(約850万円)からとなっており、少なくともこの地での競争力は高いといえる。

あくまでもテストコースでの試乗となったため、公道での印象を含めて、リリックの評価を具体的にすることは難しい。それでも、今後数年のキャデラックのなかでも、特に強い訴求力を持つモデルになるであろうことは間違いない。

欧州の主要プレミアム・ブランドに代わる選択肢として、充分な存在感を示せるだろう。新しいキャデラックの時代がやって来そうだ。

キャデラック・リリック RWD(北米仕様)のスペック

北米価格:6万2990ドル(約850万円)
全長:4996mm
全幅:1976mm
全高:1623mm
最高速度:189km/h
0-100km/h加速:6.1秒
航続距離:502km
電費:−
CO2排出量:−
車両重量:2585kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
バッテリー:102kWhリチウムイオン(実容量)
最高出力:340ps
最大トルク:44.8kg-m
ギアボックス:−

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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