最新ラグジュアリー・サルーンを長期テスト メルセデス・ベンツSクラス S 580e(1)
公開 : 2022.08.21 09:45
28.6kWhと大きな駆動用バッテリー
駆動用バッテリーの容量は、28.6kWhとPHEVとしては大きめ。ベントレー・フライングスパー・ハイブリッドのものと比べると、2倍以上の容量を持つ。驚くほど長い、EVモードでの航続距離を実現させている。
そのかわり、車重は2385kgと重い。大型ラグジュアリー・サルーンだから、その他のカテゴリーより重さが足かせに感じられる割合は低いといえるが。
また、駆動用バッテリーの影響で荷室容量は10%ほど削られている。充電ケーブルを積むと、そのぶんの容積も取られてしまう。
S 580e Lには、PHEVとしては高速な急速充電能力が備わっている。最高60kWにまで対応し、20分で10%から80%まで電気を蓄えることが可能。ただし最近の英国では、高速道路の急速充電器の利用料がガソリン並みに高いのだけれど。
新しいSクラスの装備で、賢いと感じているのがステアリングホイール裏のパドル。通常は9速ATのシフトチェンジに用いるのだが、回生ブレーキの効きの強さを変更することもできる。必要に応じて、ドライバーが選べるのだ。
効きの強さには3段階あり、標準モードではエンジンブレーキ程度。右側のパドルを引くと、回生ブレーキが弱くなり惰性走行するようになる。左側のパドルを引くと、ブレーキペダルを殆ど踏む必要がないほど強くなる。
筆者は、最も効きの強いモードが好み。下り坂で航続距離が増えていく様子は、見ていてうれしい。
メルセデス・ミー・アプリにも対応
最新モデルらしく、メルセデス・ミーというアプリにも対応する。ユーザー登録を済ませれば、リモートで自分のクルマと接続し、システムを起動して車内の温度を事前に調整することができる。リビングのソファーから、ナビの目的地登録もできる。
自宅の駐車場へ、自律的に駐車させることも可能らしい。オーナーとしての体験を高めてくれるのかは、実際に試してみないとわからないが、興味深い機能だ。
いずれにしても、最新のメルセデス・ベンツSクラス PHEVとの暮らしが楽しみなことは間違いない。
セカンドオピニオン
長期テストのSクラスにはまだ乗れていないものの、以前の試乗では好印象を抱いている。特にドライブフィールには魅了されてしまった。
多くの技術が搭載され、システムは複雑で車重は重い。それでもSクラスは、このセグメントで最も運転したいと思えるほど、突出した完成度のモデルだと思う。 Matt Prior(マット・プライヤー)
テストデータ
価格
モデル名:メルセデス・ベンツSクラス S 580e L AMGライン・プレミアム・プラス・エグゼクティブ(英国仕様)
新車価格:11万3880ポンド(約1901万円)
テスト車の価格:11万3880ポンド(約1901万円)
オプション装備
なし
テストの記録
燃費:19.2km/L
故障:なし
出費:なし