アルテオンのご先祖 フォルクスワーゲン・パサートCC 英国版中古車ガイド 快適なクーペ
公開 : 2022.08.15 08:25
DSGと4名か5名の乗車定員にはご注意を
気をつけたいのが、DSG。メカトロニクスの制御に不具合が生じることがある。6万kmから7万kmくらいでフルードとフィルターを交換すれば、ある程度は調子を保てるが、それでも不調に陥る場合がある。事前に必ず変速の滑らかさを確かめたい。
パサートCCの初期型は、定員が4名だったという点にも注意したい。2010年以降は、欧州仕様の場合は3名がけのベンチシートをオプションで選べるようになっている。ナッパレザーで内装が仕立てられるようにもなった。
新車時は、2人がけのリアシートに不満を漏らす人もいた。だが2022年に改めて眺めると、左右で独立したリアシートには高級感があり、4ドアクーペのスタイリングへ似合っているように思う。2012年のフェイスリフトで、定員は5名が標準となった。
沢山の荷物を運ぶ必要がないなら、パサートCCは通常のパサートより魅力的に映る読者もいらっしゃるだろう。BMWやアウディより価格価値にも優れるし、サルーンより特別感もある。この頃のフォルクスワーゲンは、今とは少し違っていたように思う。
購入時に気をつけたいポイント
エンジン
タイミングベルトのユニットの場合は、13万5000km毎か4年毎の交換が英国では指定されている。ウオーターポンプの交換も一緒に済ませたい。
ディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)は、充分に排気系の温度が上昇しないとススが詰まることがある。
トランスミッション
ディーゼルエンジンと組み合わされている6速DSGの場合は特に、メカトロニクス系の不具合を抱えがち。変速を躊躇したり、滑らかに完了できなくなる。6万kmから7万km前後でのフルード交換が、延命措置になるようだ。
6速MTの場合は、デュアルマス・フライホイールに不調をきたすことがある。クラッチペダルを踏んで違和感がないか、不自然な振動がないか確かめたい。
ブレーキとサスペンション
サイドブレーキは電動式。故障する場合があり、正常に動くか確かめたい。修理は安く済まない。
試乗が可能なら、段差などを通過して足まわりからコツコツと異音がしないか確認する。アンチロールバー・ブッシュとドロップリンクが劣化しやすい。アダプティブダンパーを装備する場合は、各モードが機能するかも忘れずに。
ボディ
フォルクスワーゲンの塗装は、ドイツのほかのブランドと比べると塗膜が薄い。飛び石キズが付きやすい傾向がある。タッチアップ塗装で補修したい。
初期のパサートCCの場合は、ドアが錆びやすいようだ。また、フレームレスのサイドウインドウから雨漏りすることもある。ドアの開閉時に、ピッタリ閉じるか確認したい。
インテリア
インフォテインメント・システムなど、すべての電装系が正常に動くか確かめる。主要ディーラーでメンテナンスを受けていないと、重要なソフトウエアのアップデートが未実施の場合も。