BEV変革期の最前線にある キアEV6 GTへ試乗 ツインモーターで585ps 航続423km

公開 : 2022.08.18 08:25

欧州カーオブザイヤーに輝いたキアEV6。その高性能仕様は、さらなる高みへ進化したと英国編集部は評価します。

バッテリーは77.4kWh 航続距離は423km

最近はバッテリーEV(BEV)への試乗が日常化しているが、なかにはブランド自体の変革へ結びつけている自動車メーカーもある。その筆頭といえるのが、韓国のキアだ。

キアEV6は欧州カー・オブ・ザ・イヤーに輝き、一躍注目を集める存在になった。優れた技術とデザイン、価格というコンビネーションで競合メーカーを抜き去り、その存在感を強く示している。ヒエラルキーの枠を超えて。

キアEV6 GT(欧州仕様)
キアEV6 GT(欧州仕様)

今回試乗したEV6 GTは、その競争をさらにアシストすることになりそうだ。トップグレードに当たる高性能仕様は、通常モデルから頭ひとつ飛び出た仕上がりを獲得している。ライバルメーカーにとっては、喜ばしいニュースではないだろう。

駆動用バッテリーの容量は77.4kWhで、標準のEV6と変わらず。上級ブランドのモデルが搭載するものと比べれば若干小さい。航続距離は423kmがうたわれ、これも驚くような数字ではない。

だが、駆動システムは電圧800Vという高性能なもので、233kWという急速充電能力には眼を見張る。相応に高性能なDCの急速充電器に接続できれば、最短18分で10%の残量から80%まで回復させることができる。

タイカン 4Sより安く、パワフルで速い

EV6 GTの基礎骨格をなすのは、ヒョンデ・モーター・グループが開発した先進的なE-GMPプラットフォーム。車重は2165kgと、このクラスのBEVとしては軽量だ。

ツインモーターによる最高出力は585psで、0-100km/h加速を3.5秒でこなす。スーパーカー級の加速力といえる。ポルシェタイカン 4Sより英国では2万5000ポンド(約417万円)も安いモデルにも関わらず、よりパワフルで速い。

キアEV6 GT(欧州仕様)
キアEV6 GT(欧州仕様)

そんなEV6 GTだが、スタイリングの変更は限定的。21インチの専用アルミホイールと、形状に手が加えられたバンパー程度となる。テールゲート上のスポイラーは、通常モデルのEV6 GTラインSと同じものだという。

インテリアでは、新しいスウェード仕立てのセミバケットシートを獲得。ステアリングホイールのスポーク部分には、エコ、ノーマル、スポーツから選べる通常のドライブモード・セレクターの反対側に、GTモード用のスイッチが付いた。

ハードウエアのアップグレードとしては、2基の永久磁石同期モーターが主役。先進的なシリコンカーバイド半導体を用いたデュアルステージ・インバーターを搭載し、リア側の駆動用モーターは367psを発揮するという。難しい話だが。

フロントの駆動用モーターは、218ps。穏やかな走行時は、効率を高めるために駆動系から切り離すことを可能としている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マイク・ダフ

    Mike Duff

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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