トヨタGR86を”拒んだ”欧州連合の安全規制 「GSR2」とは メーカーから疑問の声も

公開 : 2022.08.09 18:45

小型車は生き残れる? 規制対象には緊急車両も

堀場製作所のグループ会社で、英国に拠点を置く自動車関連技術開発企業ホリバMIRAの3人のエキスパート、アシュリー・パットン(ADASおよびCAVチーフエンジニア)、デイビット・インチ(ホモロゲーション)、アーロン・マンダリア(CAVソリューションリーダー)に話を聞いた。

――GSR2の規制は、どの程度の規模なのでしょうか?

「車両カテゴリーによって異なりますが、およそ100項目の膨大な規制があります。改正も含めますが、2024年までに導入する必要がある、20~25項目が新たに設けられました」

――その狙いは?

乗用車だけでなく、商用車や緊急車両など、あらゆる自動車に規制が適用される。
乗用車だけでなく、商用車や緊急車両など、あらゆる自動車に規制が適用される。

「多くの機能が何らかの形ですでに存在しているため、ゼロから発明するわけではありません。EUは、誰もが同じアプローチを取れるように、ある程度の一貫性を持たせようとしています。それは歓迎すべきことです」

――自動車メーカーの戦略にはどう影響するのでしょうか?

「メーカー各社は、製品を改良して存続させるか、2024年7月に廃止させるか、議論することになるでしょう。時間の余裕はあまり残されていないので、戦略的に決定が下されるでしょう」

――小型車への影響は?

「小型車は、大量生産・低利益のクルマとして、間違いなく影響を受けます。機能を追加するとコストがかかるので、メーカーは価格を上げるか、販売を続ける価値があるかどうかを検討しなければなりません」

――2024年に既存のクルマへ機能を後付けするのは難しそうですね。

「GSR2が浸透するにつれて、おそらく多くの製品が市場から消えていくでしょう」

――車両への組み込みは?

「メーカーは、NCAPの安全性評価に必要でなかったために技術が搭載されていない古いアーキテクチャの車両を、GSR2に適合するように改良する価値があるかどうか、検討しなければならないでしょう」

――どれくらいの車種が影響を受けるのでしょうか?

「乗用車だけではありません。GSR2は、できるだけ多くの車両カテゴリーへの適用を目指しています。そのため、バス、トラック、バン、消防車など、あらゆる車両に適用されます」

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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