F1エンジン搭載 メルセデスAMGワン、生産開始 最高出力1063psのハイブリッド・ハイパーカー

公開 : 2022.08.11 06:05

F1用V6エンジンに4基の電気モーター

縦置きに搭載されたV6は、メルセデスが8年連続でコンストラクターズタイトルを獲得したF1用エンジンの改良型だ。最高出力は574ps/9000rpmで、レッドラインは1万1000rpm。市販車の排ガス規制をクリアするため、電気加熱式触媒とガソリン微粒子フィルター、そしてチタン製のリアサイレンサーが採用された。

そして4基の電気モーターには、F1マシンの技術がふんだんに盛り込まれている。出力123psのモーターはターボチャージャーと電動コンプレッサーの間のシャフトに、163psのモーターはエンジン上に配置され、ドライブシャフトに接続。さらに163psのモーター2基がフロントアクスルに内蔵されている。

メルセデスAMGワン
メルセデスAMGワン    メルセデスAMG

合計出力は1063psで、これまで最もパワフルな市販車であったAMG GTブラックシリーズよりも333ps高い。アストン マーティン・ヴァルキリーの1176psや、フェラーリSF90ストラダーレの1000psと近い数値である。

メルセデスAMGは、「ドライブトレインの複雑な性質上、代表的な数値を示すことができない」とし、トルクを公開していない。しかし、0-100km/hは加速2.9秒、0-200km/h加速7.0秒、0-300km/h加速15.6秒と謳っている。

トランスミッションは、油圧式、4ディスククラッチ、シフトパドル付きの新開発の7速自動AMTを採用。

サーキット走行にフォーカスした足回り

走行モードは「レースセーフ」、「レース」、「EV」、「インディビジュアル」、「レースプラス」、「ストラット2」の6種類で、最後の2つはサーキット走行専用となる。

レースセーフモードは、オンデマンドのハイブリッド駆動。レースモードでは、エンジンが常に作動し、バッテリーの充電に使用される。EVは電気のみで走行するモードだ。レースプラスモードでは、リアウイングを所定の角度で展開しダウンフォースを増加させ、サスペンションをローダウンし、パワートレインの「スペシャル・パフォーマンス・マネージメント」を行う。ストラット2(F1マシンの「ストラテジー2」モードに由来)は、エアロやサスペンションチューン、パワーマネジメントを最も過激なものとし、フルパワーを発揮する。

メルセデスAMGワン
メルセデスAMGワン    メルセデスAMG

さらに、チャージボタンが装備されており、減速エネルギーの回収とエンジンによるバッテリー充電を補完できる。

足回りもレース仕様だ。四輪に5リンク式のプッシュロッド・サスペンション、横置きダンパー、アジャスタブルストラットを装備。ホイールにはセラミック製ボールベアリング(従来はスチール製)を採用し、フリクションを低減している。

また、電子制御トラクションコントロールシステムは、9段階以上の設定が可能だという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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