マクラーレン幹部が語る「すべてにおいて異例」のアルトゥーラ ポール・ハリス氏インタビュー

公開 : 2022.08.10 21:15  更新 : 2022.11.04 13:50

1番の狙いは、「キレイな出力曲線」

ワクワクするハイブリッドとは、どんなものでしょう?

ーーマクラーレンのハイブリッドの成り立ちを考えてみると、パフォーマンスを満たし、さらに増強するために使ってきたという歴史があります。

これは、ハイブリッド技術の成り立ちとしてはレアな存在と考えております。

アルトゥーラ試乗の第一印象を「爽快」という言葉で表現したポールさん。走りの話には熱が入る。日本のKAWASAKIのバイクも複数台所有していると打ち明けてくれた。
アルトゥーラ試乗の第一印象を「爽快」という言葉で表現したポールさん。走りの話には熱が入る。日本のKAWASAKIのバイクも複数台所有していると打ち明けてくれた。    マクラーレン・オートモーティブ

とくに内燃エンジン、プラグインハイブリッド、電動モーターとのインテグレーションを作り込んでおりますし、EVモードならモーターだけで走れるのは大きいと思います。

しかしながらマクラーレンにとっての電動化、ハイブリッド化というのは、“トルクを埋める”という意味があります。

出力曲線をよりスムーズにするというのが、最大の目的です。

もちろんマクラーレンは軽量エンジニアリングで知られていますので、その考えのもとで搭載できるハイブリッドユニットを開発しました。

わたし自身も一般道で試乗できる機会を心待ちにしているほどです。

日本市場の反響は? 若い世代の反応は?

電動モデルとなるアルトゥーラを、日本の皆さんにどのように紹介していきますか?

すでに、見込み客となるカスタマーの皆様から、アルトゥーラを是非体験したいという声が届いております。

そのため、日本にいち早く実車をお持ちし、乗って頂けるように手配を進めております。

マクラーレン・アルトゥーラ
マクラーレン・アルトゥーラ    マクラーレン・オートモーティブ

幸いなことにかなりの受注を頂いておりますが、お乗りになる前にオーダーされた方は既存のマクラーレン・オーナーが多いです。つまり、マクラーレンについて自信をお持ちの方、このブランドを信頼なさっている方々です。

力を入れるべき点としては、アルトゥーラのビジビリティ(認知度)を高めていかなければなりません。その策の1つとして、一般道での試乗会、サーキットでの走行会を開いていくことになるでしょう。

日本に限らず、消費者の関心は「モノ」から「コト」へ、「コト」から「トキ」へ移っていると言われます。この変化のキーとなるのがミレニアル世代と呼ばれる若者たちです。彼らの目に、アルトゥーラはどのように映るでしょうか?

ーーその考えについては全面的に賛成しますよ。すでにミレニアル世代へのアピールはある程度成功していると考えています。

新しいセグメントのお客様からオーダーを頂いておりますし、ご興味を持って頂いています。

しかし、さらに幅広くしっかりとエンゲージメントを強めていかなければなりません。そのために教育機関との関わり方を強化しています。

例えば、テクノロジーの教育をする方々とタッグを組んで、直接エンジニアリングをアピールできる場を設けていきたいのです。

マクラーレンは、スーパースポーツカー・メーカーの中で、最もオープンな心を持っているフレンドリーなブランドで、新しい人々と出会うことを厭わないですし、むしろ歓迎しています。

それに、若い世代は自分たちがユニークであることを重視し、「自分たちを見てくれ!」「僕たちは違うだろ!」という価値観をお持ちですね。

そうしたユニークな素質がマクラーレンにはありますし、パーソナライゼーションのプログラムが充実しているので彼らの望みは何でも叶えられるでしょう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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