中古で買うなら? BMW Mモデル 海外の自動車ライターが選ぶ至高の1台

公開 : 2022.08.12 18:25

フェリックス・ペイジ:BMW M5(E39)

究極のMモデルを選ぶのは簡単だ。自分が思う最高のBMWを選び、リアエンドに「M」のバッジをつければいいのだから。

僕の場合は、E39型M5である。なぜなら、史上最高のハンサムボディと完璧なバランスを誇るセダンに、400psのV8エンジンを載せれば、偉大な存在以外の何ものでもないからだ。

BMW M5(E39)
BMW M5(E39)

僕の同僚であるマット・サンダースは、「そのシンプルさ、汎用性、メカの信頼性、そしてアナログの魅力の深さにおいて、現代の先達とは異なる。しかし、その小粋なドアミラーを置いていってしまうほどの速度で道路に飛び出す能力においては、全く変わらない」という最高の賛辞を送っている。

絶大な火力とドライビングの魅力を隠す繊細さとプロ意識こそが、時代を感じさせる要素であり、現代の文脈において無類のカルト的地位を与えているのである。

近年、BMW Mモデルは控えめな親しみやすさを失いつつあり(ほぼすべての点で大幅な進歩を遂げているとはいえ)、そのため比較的地味な旧型の方が洗練された選択肢に見えている。

マット・プライヤー:BMWターボ(E25)

これはMモデルなのか、それともニセモノなのだろうか?いやいや、これは背中にMのバッジを付けた、れっきとしたMモデルである。BMWが初めて世に送り出したMモデル「M1」のコンセプトカー、「ターボ」だ。

M1が発売されたのは1978年で、コンセプトのターボが公開されたのが1972年。つまり、M部門(BMWモータースポーツ社)の設立とともに生まれたクルマなのだ。ここからすべてが始まった。ということで、僕の一番のお気に入りである。

BMWターボ(E25)
BMWターボ(E25)

子供の頃に読んだスチュアート・ブラドン(元AUTOCARスタッフ)の本の表紙がM1だったが、僕の膝を震わせたのは、中に描かれたターボだった。グラデーションのかかったペイントはこれ以上ないほど70年代的で、クロームメッキのホイールやガルウィングドアなどは乗用車というよりパンサーモービル(ピンクパンサーの乗り物)に近かった。

M1のような直6ではなく4気筒ターボを搭載し、レースシリーズを生み出すこともなく、たった2台しか製造されなかった。そのどちらもショーカーだったことを考えると、おそらくハンドリングを重視して作られたものでもないのだろう。でも、10歳のときの僕はこのクルマが欲しくて仕方がなかったし、Mであろうとなかろうと、僕にとっては今でも夢のBMWなのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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