日本のハマー トヨタ最大にして無名のSUV「メガクルーザー」 自衛隊でも愛用されるオフロード車とは
公開 : 2022.08.13 18:05
メガクルーザーの引退
メガクルーザーの生産は岐阜県の工場で行われたが、生産台数については専門家の間でも議論がある。132台という説もあれば、149台が正しいとする説もある。いずれにせよ、2001年8月、後継車がないまま生産は終了した。
トヨタは最終的に、このニッチな分野では競争する価値がないと判断した。GMも同じ結論に至り、2006年にハマーH1を引退させている。
BXD10の引退
BXD10の歴史は、メガクルーザーよりもう少し複雑だ。民生型が引退した2001年頃に生産が終了し、陸上自衛隊向けに約3000台が生産されたというのが大方の見方である。現在も使用されている車両もあるが、廃車になったものはスクラップにされる。
日本では自衛隊の車両は防衛専用品として扱われ、民間への払い下げは禁止されている。本来なら、民間人が手に入れることは不可能なのだが、スクラップとして海外へ輸出されたものが復元され、コレクターの手に渡ることも少なくないらしい。
それにしても、ハンヴィーの生産台数が30万台に達することを考えると、3000台という数字は少なく感じる。もちろんこれには理由があって、まず第一に、BXD10は訓練に参加したり、基地間の人員・装備品の運搬に使われたりすることが多いのだが、ハンヴィーは過去30年間に実際の戦地に投入され、破損のリスクが非常に高い中で使われていること。第二に、生産期間が比較的短かったことである。AMゼネラル社は1983年以来、いまだにハンヴィーの製造を続けている。
メガコースター?
トヨタは1990年代、マイクロバスのコースターにメガクルーザーのポータルアクスルを流用した4WD仕様を製造している。BB58と呼ばれるこのモデルは、標準仕様よりもずば抜けて地上高が高く、雪の多い地域での送迎車として好まれた。現在、オフロード愛好家の間では「どこへでも行けるキャンピングカー」として珍重されている。
中古車価格は新車の2倍
メガクルーザーは、トヨタが製造したオフロード車の中で最も大きなモデルであり、今後もこの地位が揺らぐことはないだろう。また、希少価値が高いため、必然的に多くの車両がアウトドアではなく空調の効いたガレージで過ごすことになる。
中古で売りに出される希少な個体を見ると、購入するためには少なくとも2000万円近く用意する必要があるようだ。メガクルーザー特有の部品もなかなか手に入らないので、手に入れても壊さないように気をつけたいところだ。